オグリキャップをもう一度

競馬好きの行政書士が競馬について気ままに書くブログ 馬主申請の代行も行っております

コミュニケーションと書面と

4月となりました。

3月、もう少しブログを書けるかな、と思っていたんですけど、いろいろとありまして、書けずに過ぎてしまいました。申し訳ございません。

 

今の時代、情報発信は大事。そして、情報発信手段としては、多種多様なものがあります。

気楽に投稿できて、バズって。

わかりやすく、見やすく、見栄え良く。

動画も音楽も発信できる。いい写真も投稿できる。

そんな中で、当ブログは文字だらけで、内容は面白味もなく長文、情報発信しても受け取ってもらえるかわからないようなものです。

それでも、自分が発信したいこと、思ったことの備忘録として、あるいは長文でも届けたいことの置き場として、もっと多く書き残せれば、と思います。

そして、このブログから、誰か少しでも競馬が好きになるなんて人が現れれば幸いです。

 

4月。新年度。新生活が始まる月。

春は出会いと別れの季節。

楽しい思い出や感謝を胸に、悲しいけど別れを経験した人もいるでしょう。

同時に、新生活で出会いも拡がります。

一期一会。すべての出会いには意味がある。

皆様の新生活がいいものでありますように。

 

さて、何のブログかわからなくなりそうでしたが、当ブログは競馬に関することを書いているものです。

前回の記事から時間が空いてしまいましたが、一応次回は大井競馬の標準預託管理契約が変更されるということについて書くとしていたので、そのことについて書きましょうか。

SNS上で一部の馬主が大井の標準預託馬管理契約書の新しい案が届いたけど、改悪ではないか、という趣旨の投稿を見ました。例えば馬が厩舎からの脱走等で怪我をしても調教師は原則責任を負わないというのは管理者としてどうなのか、というのがおそらく問題視したところでしょう。

ただ、調教師側としては、民法の条文に沿ったうえで、原則管理者としてしっかりと注意して管理していれば損害賠償責任を負わないということを契約書に表したものであると言いたいのでしょう。事実、調教師側から今回の変更についての考え方を記した書面を見ると、そのように受け取れます。

少しこじれたのは、その他複数の要因があるからでしょう。

ひとつ考えられるのは、預託料未納問題。未納の話は聞きますし、実際今回未納の場合に法廷へ話を持ち込みやすくする改定をしております。調教師側からすると、しっかり払っていないのがいるのに、なんでも調教師の責任にするのかよ、といいたいのでしょう(未納に関しては、あまりに多いと給付金の受給が不適切ではないとの根拠になりそうだな、とも思いましたが、今回は不適切受給の話ではないですし、そもそもそのような事実がどこまであるのか個別事情で分からないことから、これで終わり)。

 もう一つは、新しく馬主になった人が増えて、今までの競馬界と考えが違う人たちが現れたからでしょう。馬主になったばかりの人は、自分の馬がとてもかわいいと思いますし、怪我でもされたら責任をとってもらいたいと思うことは通常だと言えます。対し、調教師側からすると、馬主以上に馬のことをわかっている自信がありますし(馬主からすると自分が一番わかっていると思っているからこじれるのかもしれませんが)、施設の設備上どうしても起こってしまう事故などもあるので、そういった事情が分からないのに口を挟まれても困るという思いがあるのでしょう。昔は「エライヒト」が仲裁したのでしょうけど、現在だとそうもいきません。

そういうわけで、双方に意見や思いの食い違いが生じてしまう。

解決するには、結局日ごろからコミュニケーションをとって意見をすり合わせ、決まったことを書面化するのが必要なんでしょう。双方歩み寄れるはずなんですよ。お互い馬が好きなことは共通しているのですから。

 

コミュニケーションをとって、メモする。これは、新生活を迎えた新入社員にも、新入社員に接する人たちにも重要なことだと思います。

4月1日。こういった日に、コミュニケーションの大切さも兼ねて、今回のブログをしたためて終わりとします。

ここ最近競馬界であった、考えなければいけないこと

ご無沙汰しております。

2月は体調を崩す等いろいろありまして、ブログを更新できず仕舞いでした。申し訳ございません。

日々楽しく発信することの重要性は感じておりますので、3月はブログもしっかりとやりましょうね。

 

と言いながら、あまり楽しくないことを書くのが今回。

2月、いろいろあったと書きましたけど、競馬界もまあいろいろなことがありましたね。

大ニュースとなったのが調教師含む厩舎スタッフの持続化給付金不正受給問題。

そもそもが「不正」なのか、本当に要件を満たしていないのか、詳細が分からない以上、多くを述べることは致しません。

ただ、調教師会が給付金の返還を求める通知を出していること、人脈等を使って「皆に支給される」旨の宣伝をしていたこと、特に、調査で分かったこととして競馬記者を通じて紹介してもらい申請手続をしたというのは、道義的に問題であると思います。

実際、競馬の売り上げ自体は減っているどころか増えていて、賞金そのものは支給されているので、その点についてコロナによる減収はあり得ないわけです。前年度に比べて下がった場合は、管理する馬の成績が下がったときなわけで、それをコロナ禍を理由に受給してもらうというのは、さすがになぁ、となってしまいます。

1月のパワハラや関係者自らが潜脱して馬券を購入する際にも述べましたが、競馬は公営ギャンブルである以上、法を遵守し、国民の信頼を確保するための公正の担保が必要なのです。今回の問題は、本当に法に触れるか、となると調査が必要になるでしょうが、少なくとも国民の信頼を揺るがす出来事となってしまいました。しかも、それが競馬関係者主導で行われたのですから、大問題となるのです。

今後は、よりクリーンで安心して競馬を楽しめるような環境を作らないといけないのだと思います。今までなあなあでやってきたことを明確に書面等にしてはっきりとさせないといけない。

おそらく、馬主、調教師、さらには管轄する上位団体等がしっかりと話し合って決めないといけないこともあるでしょう。

競馬が盛り上がってきている今だからこそ、やらないといけない。

競馬好きで、法律家である自分としては、再度クリーンな競馬界になるために、何かやっていきたい。そう改めて思った2月でした。

 

他、興味を持ったこととして、馬主と育成場や調教師等との各種契約というのがありましたが、それは次回にでも。また難しい話になりそう…。

本当は楽しくウマ娘の話でもしたいんですけどね(ダウンロードはしたけど時間がなくて放置していますが)。

母子の夢、南関東の悲願

フリオーソが勝った川崎記念から、もう10年経っていた。

その間、地方勢は、2歳、3歳戦や牝馬重賞、短距離戦では交流G1でJRA勢を倒すことはできていたが、いわゆるクラシックディスタンスである2000m付近の古馬王道交流G1レースで勝つことはなかった。

 

10年ぶりに南関東所属の馬が、川崎記念のゴール板を先頭で駆け抜けた。しかも、南関東競馬生え抜きの馬でだ。

カジノフォンテン。

デビュー戦の勝ちっぷりから、高い素質の持ち主と期待されていた馬ではある。ただ、クラシック戦線では、まだ身体が出来上がっていなかったために、掲示板が精一杯という成績であった。

少し休んでからの3歳秋。馬体も充実したものになり、カジノフォンテンの快進撃は始まる。それでも、重賞では経験の浅さからか、我慢しきれず敗退することもあった。

さらに経験を積み、昨年末勝島王冠では南関東の大将ともいうべきモジアナフレイバーに勝利。そして、東京大賞典ではオメガパフュームに2着と迫るところまで成長した。

今回の勝利、確かに先行有利な馬場と枠に恵まれたものであったのは事実だ。

しかし、スタートをしっかりと決めたこと、最終コーナー回るときの手ごたえ、ラストも12秒6でまとめていることを考えると、やはり馬自身がパワーアップしていたのが何よりの勝因であろう。

 

思えば、カジノフォンテンの母ジーナフォンテンも、南関東競馬で活躍した馬だった。

牝馬ながら川崎記念3着という実績もある。

今回のカジノフォンテンは、母が果たせなかった川崎記念制覇という夢も叶えたことになる。

 

ジーナフォンテン

そして、カジノフォンテンに乗っていたのは、母の主戦騎手だった張田京現調教師の息子である張田昂騎手。

厩務員はフリオーソも担当していた波多野厩務員。

そう考えると、南関東のこれまで培ってきた技術と血が、この大一番で見事に実を結んだといえる。

 

確かに、入ってくる馬の素質、環境面等から、地方勢がJRAに王道路線で勝つのは難しくなっている。

しかし、人の技術、馬に対する愛情では、負けていない。

そういったものが結集すれば、JRAにだって勝てるんだ。

ゴールの瞬間、張田昂騎手はガッツポーズをした。胸中いろいろとあったのだろう。

今回の川崎記念、たくさんの願いが叶ったように思えて、本当にうれしく思える。

 

今年最初のG1級レースからいいものを見ることができた。

今年も、たくさんいいレースを見られるよう、願う。

マイナー種牡馬も頑張っているよ

「今、一番好きな競馬場はどこですか?」と問われたら、次のように答えることにしている。

川崎競馬です」と。

自分が川崎市民になって、はや6年。個人的に川崎競馬は年々良くなっていると思っているし、川崎市の誇りとすら思っている。

なので、川崎開催は一番といっていいほど注目している。

 

1月25日(月)から始まった川崎開催。初日の3レース、バロズレガシーという馬が勝った。その父はバロズハートという。

 

バロズハートと聞いてピンと来る人は少ないと思う。ピンと来たとしても、種牡馬になったの、という人が多いだろう。JRA時代は1600万下クラス、その後川崎競馬の田邉厩舎に入って引退したという馬だ。

南関東では1勝もできなかったし、JRA時代は1600万下、血統的に良血というわけでもなく、本来なら種牡馬になれない。それでも馬主に思い入れがあったのだろう、アロースタッド種牡馬入りをする。

 

とはいえ、たとえ種付け料が10万円と安くても、成績や血統面で特に優れたともいえないバロスハートには種付け依頼がなかなか来ない。産駒は4頭のみである。

そのうちの1頭、アメリカンハートは、おそらくバロズハートの馬主の親族が所有しており、JRAでデビュー。JRA時代は複勝圏に入り、その後園田で3戦2勝。現在は南関東に入り、頑張っている。

 

そして、冒頭のバロズレガシーである。父と同じ川崎競馬場の所属。4戦目にして初勝利をあげることができた。

まだ3歳であり、更なる活躍を望むことができる。

 

種牡馬になれる馬は、ほんの一握り。血統がいい馬だって、成績が良くなければ種牡馬になることができない。

しかも、種牡馬になったからって、受胎させる能力が低かったら種牡馬失格の烙印を押されるし、産駒の成績が良くなければ廃用となることもある。

大変な世界だ。

そんな厳しい中で、マイナー種牡馬だって頑張っている。そして、そんなマイナー種牡馬が競馬の多様性、奥深さを支えている面もある。主流の血統だけでは行き詰まるし、面白味がない。

だから、たまには普段見向きもしないだろう馬の血統も、見てみよう。そこにも馬に対する人々の愛情と努力の結晶が見えるから。

今の中京競馬場の芝に合うお馬さん

通常は12月の初旬に終わってから1ヶ月くらい空けて開幕する1月の中京開催。それが、今年は京都競馬場の改修工事のため、京都開催の代わりに1月の頭から行われています。しかも、6週間開催。

そういうわけで、芝コースはだいぶ荒れてきた感じ。先々週までは荒れているといっても内前が優勢でしたが、先週は内が見た目通りに重くなって、外からの差しも届くようになってきました。

そして、開幕当初からある程度表れていた馬体や血統の傾向は、先週より顕著になったように思えます。すなわち馬体は馬体重がある馬、血統的にはRobertoのようなタフな血を持った馬。

シンザン記念の回顧ブログでも「重い馬がいい」と書きましたね。それと、モーリス産駒ということは、当然Robertoの血を持っています。

その前の金杯回顧ブログでは、Nureyevについて少々。Nureyevもタフさが要求されるときに力を発揮します。

 

では先週の重賞、愛知杯日経新春杯についておさらいをして、その傾向が顕著になったことを書いていきましょう。

愛知杯ディープインパクト×母父シンボリクリスエスのワンツーで決まりました。

ディープというと切れ味が身上のように思えますが、母父シンボリクリスエスはRoberto系。今開催の中京芝はディープ産駒でも合う、合わないがはっきりしていて、合う方ならやってきます(合わなかった典型例が日経新春杯のアドマイヤビルゴ。馬体重も軽かったですしね)。

つまり、ディープ産駒を買うにしても、馬格があって、タフな血を持っていることが重要だと。

 

日経新春杯はショウリュウイクゾが勝利しました。オルフェーヴルにあるLt.Stevensの血と母方ショウリュウムーンにあるThongの血の全きょうだいインブリードによって、Nureyevなどを活性化させる、走るオルフェーヴル産駒の典型的配合と言えます。

しかも、ショウリュウイクゾの馬体重は512キロとやはり重い。条件に合致しております。

2着だったのが穴のミスマンマミーア。直線勝負に賭けた騎乗も見事ですし、何よりこの馬はRoberto系。これまでも荒れた馬場は得意だっただけに、今開催の芝が合ったのでしょう。

3着クラージュゲリエも母の父がシンボリクリスエスと、やはりRobertoの血が入っています。

 

馬場が良くなるということは考えにくく、この傾向は続くと思います(RobertoだけでなくSadler’s Wellsもいい馬場になる可能性はあるけど、それだって≒Nureyevなのだから、もうその傾向は出ています)。

なので、これを参考にしてみてはいかがでしょうか?

法令遵守の時代に

いいこともあれば、悪いこともある。それが世の中というものか。

 

コロナ禍という状況においても、競馬界はスター誕生などに盛り上がり、売り上げも上々。若者や「UMAJO」といった女性層も増えてきており、レジャーのひとつとして定着していた。

しかし、競馬は基本的にギャンブルであり(ギャンブルであることとレジャーであることは決して相反するものではなく、両立するが)、サラブレッドという500キロ近い馬を扱う特殊な世界でもある。

そのため、特殊性ゆえの「村社会」になりがちである。

そして、日本において賭博は犯罪であり(賭博罪(刑法185条本文))、競馬法という法律によって競馬が認められていることからすると、何より法令遵守の姿勢が求められる。ギャンブルにおいて、公正であることの担保が、何より認められるうえで重要であるから。

ただ、得てして「村社会」と法令遵守は、相容れないものになってしまう。法令よりも、村社会でできた「暗黙のルール」とでもいうものが重要視されがちになってしまうので。

 

最近報道された競馬のイメージダウンにつながる記事がいくつかあった。

ひとつ目は、JRAの木村哲也厩舎の暴力事件。

詳しい事情は分からないうえに、訴訟提起されているので、憶測で述べるわけにはいかないが(まあ、村社会である競馬界で所属騎手が分から調教師が訴えられるのがかなり異常であるが)、ひとつ言えるのは、暴力をふるったのはいけないということ。報道された事実が本当であれば、パワハラどころではなく、完全な傷害事件である。

ただ、競馬界には「この程度当たり前のことであり、訴える方がおかしい」という論調の人も少なからずいる。

そのような人に言いたい。そのような考えは時代にふさわしくなく、しかも暴力で人を従わせようとするのは自分に指導力がないということを白状するものだと、認識するべきである。

競馬が危険と隣り合わせの競技なのは、わかっている。だからこそ、日常で理不尽な危険な暴力をふるうのは、むしろ逆効果でしかないと思う。危険と隣り合わせであるからこそ、普段から危険な目に合わせないようにみんなで注意し、教育すべきだ。そこに、暴力が入る余地はない。

そして、暴力による指導は、育てた気になるが、スポーツ科学的には最終的にパフォーマンスを下げると証明されている。

競馬が今後、より多くの人にスポーツとして楽しまれるようになるには、暴力によらないしっかりとした騎手の育成方法が採られなければならない。

 

ふたつ目は、笠松競馬の関係者による馬券購入と、所得隠し。

昨年8月に発覚した事件からさらに調査した結果、約20人がかかわり、約30億円超の申告漏れがあったという。

競馬では、馬の状態等から「今回は本気で走らせない」ということが少なからず行われている。特に、賞金が少ない地方競馬では、走らせないと馬主にとって損でしかないので、状態が良くなくてもとりあえず走らせるということがよくある。ただ、それは調整の一環であったり、馬主のためでもあったりするので、一概に否定すべきではない(否定するなら、トライアルレースで本番のために仕上がり途上で出すのも良くないということになってしまう)。

そのため、いわゆる「ヤリヤラズ」というものは存在するし、個人的にはそれを推理するのも競馬の楽しみのひとつだと思っている。本番は次走だから今回は軽視するなんて、通常の予想でもしているだろうから。

ただ、前提としてギャンブルとして公正が担保されていることが必要である。だから、法律で調教師や騎手は馬券を購入することが禁じられている。

今回は、法律を潜脱する意図で別の人の口座で馬券を購入したうえで、所得を隠して税の申告漏れもするという、非常に悪質なものである。

ギャンブルであるからこそ、法に違反してはいけない。なのに、競馬村で行っていることだから密告もされないだろうしバレないだろうと思って内部で馬券を購入した上に、税の申告を逃れようとするのは、ギャンブルの公正性担保を大きく害するものであり、到底許されるものではない。

競馬好きならほとんどの人が知っていることであると思うが、笠松競馬場はあの日本史上最大のアイドルホース・オグリキャップがデビューした地であり、名手安藤勝己などがデビューした地でもある。オグリキャップについては、ウマ娘という形であるが再び漫画化されて注目を集めているし、本当なら本日その冠協賛レースが行われる予定だった。それが、所得隠しによる脱税で中止になるとは、イメージダウンでしかない。

唯一の救いは、笠松競馬が告発したのがきっかけであったことだ。

名馬・名手誕生の地である笠松競馬場。その名を汚す今回の事態を自浄する心意気があるならば、まだ信じてみたい。

 

昨夜、NHKで高知競馬を特集する番組が放送された。どん底状態にあった高知競馬が、今では地方競馬の中でも南関東に次ぐくらいの売上をあげるようになった。日曜日開催なら南関東よりも売り上げるときもある。

じっくりと馬と人を育てる。それを支える環境を作る。様々なアイディアを出す。魅力を発掘する。

数多くの人の努力によって、高知競馬は立ち直った。

今や「一発逆転ファイナルレース」は競馬ファンにとって名物レースになった。土曜、日曜、JRAで負けた人が大逆転を狙ってネットで購入するなんて姿も多く見かけるようになった。

まさに一発逆転をした高知競馬のように、競馬を愛する気持ちと真摯に取り組む姿勢があれば、失われた信頼を取り返すことだってできるはずだ。そうとう厳しい道ではあるが。

厳しい道であっても、法令を遵守して地道に続けるしかない。アイディアを出して、どうすればクリーンな競馬界になるか考えないといけない。

それが競馬界にとって、最適な道であると信じて。

 

 

自分は競馬界からすると、外様な人間である。

ただ、競馬を愛している人間であり、同時に一応法律家でもある。

そして、外様の人間だからこそ改善できることもあると思う。

このような事態を改善するために、競馬界の手助けとなる活動をしていきたい。

モーリス産駒のワンツーから考える血統論

シンザン記念はモーリス産駒がワンツーフィニッシュを決めました。

2歳戦が始まった直後は「緩い」だの「キレがない」だの「遅い」だの言われて勝ち味の遅かったモーリス産駒ですが、気がついたら36勝(うちJRA32勝)をあげており、かなりの好成績。しかも、ワンツーフィニッシュで重賞制覇となると、さらに評価が高まりそうです。

 

さて、そんなモーリス産駒のワンツーから考える血統論、というのが今回のタイトルなわけですが、血統論と聞くと、どのようなことを思い浮かべますか。「3×4のインブリード」とか「ニアリークロス」とか「4分の1異系」とかいろいろあるかもしれません。当ブログでもニアリークロスとか牝馬インブリードとかいろいろといってきました。

ただ、血統論は、実際考えると後付けの結果論である場合がほとんどです。同じ配合だからって、同じくらいの強さをもった馬が生まれるわけではないですし。科学的根拠も薄いです。

だからといって、まったく無意味かというと、そうでもないと思うのです。これまでの経験による知見であったり、オカルトっぽいですが血統に対する人々の「想い」によるエネルギーであるとか、今のところ科学的に証明されていないからといって、すべてを否定するのもまたおかしいと思うのです。

それに、血統論って言われたら納得してしまうじゃないですか。よく競馬を知っているようにも思われますし。

そもそも競馬が「ブラッドスポーツ」である以上、血統論を避けてはいけないものだと思います。

とはいえ、科学的根拠を示しているものが多くないというのも事実。

なので、一方では信じ、他方で疑うという態度が必要なのではないでしょうか。

 

さて、今回の本題。今回のシンザン記念でモーリス産駒がワンツーであったことから思った血統について、お話します。

勝ったのは、ピクシーナイトという馬でした。この馬は、サンデーサイレンスインブリードを持っていません。

モーリスは父母父がサンデーサイレンスであり、日本で飽和状態にあるサンデーサイレンスの血を持った牝馬と3×4のインブリードができやすいことから、ほとんどの産駒にサンデーサイレンスインブリードが成立しています。今年の3歳世代でいうと、176頭中129頭、すなわち7割以上の馬にサンデーサイレンスインブリードが成立しています。重賞レースでの勝利の大半を占めているノーザンファーム産のモーリス産駒でいうと、43頭中38頭がサンデーサイレンスインブリード持ち。9割近くという驚異的な数字です。

ピクシーナイトはそんなノーザンファームの少数派である5頭のうちの一頭。しかも、そのうち三頭は母が外国から来た馬であるため、母日本産限定ならわずか2頭となるのです。

そのうちの1頭がモーリス産駒で初めて重賞を勝った。

つまり、モーリス産駒はサンデーサイレンスインブリードがなくてもいい、ということです。

サンデーサイレンスインブリード自体を否定するつもりはありません。

今度もモーリス産駒で活躍する馬は多く出るでしょうし、その中にはサンデーサイレンスインブリードを持っている馬はかなりいるでしょう。ただ、それはサンデーサイレンスインブリードのみによるものではないということです。これだけ多くいるのなら、モーリス産駒の活躍馬にサンデーサイレンスインブリードがあるのがある意味当たり前なのですから。

なので、今後は「やはりサンデーサイレンスインブリードは有効だった」という声があっても、少し立ち止まって本当にそうなのかと考える姿勢が重要になるのだと思います。そこで思考できるかどうかで、今後サンデーサイレンスの時代ではなくなったときに対応できるかどうか変わってくると思いますので。

 

2着はルークズネストでした。

こちらは母の父がディープインパクト。当たり前ですけど、サンデーサイレンスインブリードがあります。

ただ、ここで書きたいのはそのことではありません。母の父ディープインパクトについてです。

最近母の父ディープインパクトの馬が重賞戦線をにぎわせています。ブラヴァス、アリストテレス、ムジカ、ステラヴェローチェなど。このシンザン記念にも、ルークズネスト以外に一番人気だったククナに、セラフィナイト、マリアエレーナと4頭出走させていました。

母の父ディープインパクトの馬が勝っていたら、そのことについて深堀してみる、或いは母の父ディープインパクト時代が近づいているということを書こうかと思っていました。

でも、結果は2着。

改めて成績を見て、気がついたのです。母の父ディープインパクト産駒が重賞戦線をにぎわせてはいるけど、実はあと一歩で勝ちを逃している方が多いということに。

ここからは推測です。代を経ると、やはりディープインパクトの瞬発力はそがれるのではないでしょうか。

理由として考えられるのは、基本的にディープインパクトの相手にはパワーがある馬をつけるからです。そうでないと、非力な馬が多くなってしまうので。

そうすると、代を経たら、当然ディープのキレ味要素はそがれます。なのに、ディープの血=切れ味、ちょっと非力という印象があるため、パワーもあるようなキングマンボ系の種牡馬などが多くつけられる。

結果的に、いい種牡馬をつけているからスピード能力はあるけど、想像していたのとちょっと違う、というのが誕生してしまうのだと思います。

ディープインパクトを父に持つ優秀な繁殖牝馬は、少なからずいます。なので、今後も母の父ディープインパクトで活躍する馬も出てくるでしょう。

ただ、それが本当に母の父ディープインパクトだから走るのか、少し考えてみたいものです(もちろん、母の父ディープインパクトだから走るという側面もあると思います)。

 

以上のことも、結果論といえば結果論です。別の結果が出たら、やはりその理由を考えますし、持論を撤回することもあるでしょう。

そして、同じ結果であっても、違う見方ができるのも、競馬の面白さのひとつです。

結局何が正しいかわからず、先輩方がトライ&エラーを重ねながら血を紡いできたのが、競馬です。

だからこそ、様々な見方を、様々な血統を、とも思うのです。

 

最後に、数字から見る今のJRAの馬場傾向を少し。

シンザン記念、この2頭はともに馬体重が500キロ以上の馬でした。その他の中京競馬場で行われたレースも、馬体重が重い馬が好走しております。今の馬場は、それだけパワーがいることの証明だと思います。

なので、今週の中京競馬場の芝のレースは、馬体重が重い馬から狙ってみるのもいいのではないでしょうか。