オグリキャップをもう一度

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審議だらけの一日

アメリカで歴史的な降着が起こった約5時間半後、日本でもG1レースで降着が起こった。それも、一番人気の馬で。

NHKマイルカップ。最後の直線、残り400m付近の地点で前が少し開いたところでグランアレグリアが横にいたダノンチェイサーを弾き飛ばして前に出ようとした。それ原因となって、グランアレグリア降着となった。

日本はアメリカとは異なる審議制度(カテゴリー1)であり、被害馬が加害馬より先着できたといえない限りは降着とならない。

確かにグランアレグリアとダノンチェイサーの差はクビ差。不利がなければ先着していたかもしれない。

しかし、残り400m付近での出来事。十分巻き返せる距離があるのではないか。

ましてやG1で勝負がかかっている地点。あれくらいのアタックはありうる範囲ではないか。

「あれで降着はかわいそう」

実際、騎手の間では乗っていたルメールを擁護する声もあるという。

 

個人的に今回の事案は、降着もあるかな、という感じである。

審議制度がカテゴリー1となってから降着になったのは13件。クビ差は降着があるケースだ。

今回、前が開いた瞬間を狙ってのアタックと見られてもしょうがない感じであり、「わざと」やった(あえてこう言う)とも思える。

ならば、故意にやったことも考慮して、クビ差なら降着にしてもいいだろう、という判断になったのだと思う。

 

ただ、今回の処分で問題となったのは、降着だけでない。ルメールが5月11日から16日間騎乗停止になったのである。

騎手が擁護しているように、今回は降着にならない可能性もあるギリギリのケースであり、過怠金ならともかく、16日間も騎乗停止になるのはおかしいのではないか。

16日間の騎乗停止となった理由の一つが、3月2日に不注意騎乗で騎乗停止となったのに、短期間で同様の騎乗をしたからだという。言ってみれば「再犯加重」だ。裁決レポートには出ていないが、皐月賞での騎乗も考慮されていたと思われる。

G1ともなれば、誰もが勝ちたいので、自然と厳しいレースとなる。ましてや上位人気となれば、「勝たなければいけない」プレッシャーから強引な騎乗をしてしまうこともある(皐月賞のサートゥルナーリアもNHKマイルカップのグランアレグリアも一番人気であった)。実際、積極的に勝とうとするルメールの騎乗を褒めていた人はいたと思う。

ただ、同時に安全で公平でなければ競馬はいけない。大きなレースならなおさらだ。

今回、JRA側は処分を重くすることでG1での相次ぐルメールの強引な騎乗に釘を刺したともいえよう。裁決処分の範囲内で。

 

今回の処分は直前にブラストワンピースの鞍上が池添からルメールに変更すると発表された等でルメール一極集中体制に対し文句が出てきたタイミングでのものだった。だから、なおさら話題となった部分はある。

ただ、ルメール一極集中体制と今回の重い処分は無関係だ(間接的にルメールに馬が集まることでルメールにプレッシャーがかかって強引な競馬をしがちになる、というのはあるにせよ)。

処分が重いと感じるかは、正直個人の価値観としか言いようがない。再犯加重ともいえる処分を認めるかは意見が分かれるところだろう。

だから審議の処分はいつも問題となる。

ひとつ望むのは、なるべく迅速で根拠をはっきりと示した処分をすること。審議の制度があるのは、安全かつ公平な競馬を行うためだから。ファンにその担保をするためにも。

 

さて、騎乗停止で東京優駿までも乗れなくなったルメール。その翌日にはかしわ記念があったのだが、その話は次回にでも。