オグリキャップをもう一度

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白毛馬の思い出

気がついたら12月も半ば。早いものです。

ブログを更新していない間、競馬界でもいろいろなことがありまして、書きたいネタがたまっているのですが、順番をすっ飛ばしてホットな話題から書くことにします。

 

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今年の阪神ジュベナイルフィリーズ白毛馬のソダシが接戦を制して優勝しました。札幌、府中、阪神と、結構性質が違う競馬場での重賞3連勝は中身が濃いと言えます。

そして、これが日本で初の白毛馬によるG1勝利。今秋のG1は歴史的な勝利が目立っていますが、また新たな歴史的勝利が加わりました。

ソダシはシラユキヒメの牝系。シラユキヒメは父がサンデーサイレンス青鹿毛、母ウェイブウインドが鹿毛でありながら、突然変異で白毛となって誕生した馬。この牝系からは、ユキチャンのように重賞を勝った馬も輩出していますし、今年の阪神ジュベナイルフィリーズにソダシ以外にもメイケイエール(4着)を出走させたりするなど、かなり優秀なものとなっています。

そういうわけで、日本で白毛=シラユキヒメ牝系という感じになっていますが、シラユキヒメより昔にも、日本には白毛がいました。

 

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日本で初の白毛馬が生まれたのは今から41年前である1979年5月28日のこと。父ロングエース(黒鹿毛)、母ホマレブル(栗毛)ともに白毛ではなかったので、突然変異によって生まれたわけです。

ハクタイユー」と名付けられた同馬は、勝利をあげることはできなかったものの、白毛の遺伝子を受け継がせるために、種牡馬入りをします。

 

日本で初めて白毛馬が勝ったのは、1997年のこと。ハクタイユーの仔ハクホウクンによって成し遂げられます。

勝った日は1997年ももうすぐ終わる12月30日。大井競馬場で白馬に赤い勝負服を着た的場文男騎手が騎乗し、一番人気に応えての勝利でした。

白馬に赤い勝負服。まさに紅白ということで、おめでたい勝利でもありました。翌日のスポーツ紙では一面にしたところもあり、初の「白」毛馬が勝利ということで、12月31日に行われる紅白歌合戦と絡めた記事もありましたね。乗っていた人は「紅」の勝負服でしたが。

ちなみに、ハクホウクンの母の父は栗毛なのに「ハクバファースト」といいます。孫として日本初の勝利をあげた白毛馬が生まれるのですから、まさにハクバファーストといえます。

 

その後ハクホウクンは3勝をあげ引退。父ハクタイユーと同じく白毛遺伝子を受け継がせるため、種牡馬入りを果たします。

なお、3勝はすべて的場文男騎手によるもの。やはり、白には赤が良く似合うのでしょうね。

それと、余談ですが、ハクホウクンはぬいぐるみにもなっていまして、私もそのぬいぐるみを持っています。

 

ハクホウクン種牡馬としてハクバノデンセツという牡馬を遺します。日本で白毛の父系が3代続いた唯一の例です。

また、ハクバノイデンシ、ハクホウリリーという牝馬白毛馬も遺しました。この2頭は繁殖牝馬として白毛馬を生んでおり、父系としてはハクタイユー系が途絶えてしまいましたが、ハクバノイデンシ、ハクホウリリーからハクタイユー白毛遺伝子が続いていく可能性はまだあります。

 

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とはいえ、ハクバノイデンシの仔、ハクホウリリーの仔ともに繁殖にあがっていないようなので、おそらく日本初の白毛馬だったハクタイユーの血が遺ることはないのでしょう。

対し、シラユキヒメの牝系は、牝馬の活躍馬も多く、今後も遺っていく可能性が高いです。

だからこそ、シラユキヒメの牝系には頑張ってもらいたい。と同時に、シラユキヒメ以外にも、日本には白毛の系統があった、ということを覚えていてもらいたいのです。

かつて、白毛は致死性遺伝子であると言われてきた時期もあり、健康が良くない馬ばかりであると誤解されていた時期もありました。

しかし、ハクタイユーの一族が子孫を残したことにより、白毛遺伝子が不健康であるということにはならなくなりました(近年の研究で白毛遺伝子の致死作用は否定されたようです)。

そして、白馬は古来から神話・伝承においてしばしば神や英雄の象徴として扱われてきました。日本でも神馬として大切に扱われている事例もあります。

ある意味神の使いでもある日本初の白毛ハクタイユーとその子孫たち。シラユキヒメ牝系だけでなく、そんな血が日本にはあったということを覚えていただければ、と思います。

 

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12月の川崎競馬には、芦毛白毛馬限定の「ホワイトクリスマス賞」という名物レースがあります。

近年白毛馬の出走はありませんが、白毛馬が走るところも見たいです。

今年のホワイトクリスマス賞は、12月18日(金)。白毛は走りませんが、白い馬ばかりの競走です(白くなりきっていない馬もいますが)。こちらも注目ですね。