「今、一番好きな競馬場はどこですか?」と問われたら、次のように答えることにしている。
「川崎競馬です」と。
自分が川崎市民になって、はや6年。個人的に川崎競馬は年々良くなっていると思っているし、川崎市の誇りとすら思っている。
なので、川崎開催は一番といっていいほど注目している。
1月25日(月)から始まった川崎開催。初日の3レース、バロズレガシーという馬が勝った。その父はバロズハートという。
バロズハートと聞いてピンと来る人は少ないと思う。ピンと来たとしても、種牡馬になったの、という人が多いだろう。JRA時代は1600万下クラス、その後川崎競馬の田邉厩舎に入って引退したという馬だ。
南関東では1勝もできなかったし、JRA時代は1600万下、血統的に良血というわけでもなく、本来なら種牡馬になれない。それでも馬主に思い入れがあったのだろう、アロースタッドで種牡馬入りをする。
とはいえ、たとえ種付け料が10万円と安くても、成績や血統面で特に優れたともいえないバロスハートには種付け依頼がなかなか来ない。産駒は4頭のみである。
そのうちの1頭、アメリカンハートは、おそらくバロズハートの馬主の親族が所有しており、JRAでデビュー。JRA時代は複勝圏に入り、その後園田で3戦2勝。現在は南関東に入り、頑張っている。
そして、冒頭のバロズレガシーである。父と同じ川崎競馬場の所属。4戦目にして初勝利をあげることができた。
まだ3歳であり、更なる活躍を望むことができる。
種牡馬になれる馬は、ほんの一握り。血統がいい馬だって、成績が良くなければ種牡馬になることができない。
しかも、種牡馬になったからって、受胎させる能力が低かったら種牡馬失格の烙印を押されるし、産駒の成績が良くなければ廃用となることもある。
大変な世界だ。
そんな厳しい中で、マイナー種牡馬だって頑張っている。そして、そんなマイナー種牡馬が競馬の多様性、奥深さを支えている面もある。主流の血統だけでは行き詰まるし、面白味がない。
だから、たまには普段見向きもしないだろう馬の血統も、見てみよう。そこにも馬に対する人々の愛情と努力の結晶が見えるから。