オグリキャップをもう一度

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雨のロンシャン

レース直前。
振り出した大雨に
「今年も厳しいか」
と思ってしまった人は多いかもしれない。
凱旋門賞ロンシャン競馬場
フランスの美しき風景とは裏腹に、過酷なレースが繰り広げられる。
沈み込むような土壌。脚に絡みつく草根。降雨により重たさを増す馬場。そして、高低差の激しいコース。
結果的に、挑戦した日本馬4頭は、大敗を喫してしまった。

 

そうなると、毎回SNS等で見られるのが、凱旋門賞の馬場適性論。
確かに、ロンシャン競馬場改修後で馬場はさらに重くなったようにも思える。自然任せで、走りやすさなどない。より安全で走りやすくといった日本の芝コースとは正反対の方向の馬場ともいえる。
だから、日本で強い馬ではなく、馬場適性のある馬で挑戦すべきだ、と。

ただ、最低限の走力は必要だ。
そしてなにより、馬場適性があるなんて誰がわかるというのだ。
例えば、凱旋門賞のあとにおこなわるフォレ賞で二年連続3着だったエントシャイデン。彼の血統を見て、ロンシャンの芝の馬場適性があるなんて思う人はいないだろう。
骨格やフォーム含めての適性であるのは間違いないが、そのためには実際走ってみないとわからない(見ればある程度はわかるかもしれないけど)。
さらに、日本とフランスの気候や土壌が違う以上、ロンシャンの馬場に向くためのフォームを日本で作り上げるのはほぼ不可能に近く、それでもつくりあげようというのは、かえって馬に無理な負担をかけてしまうことになる。
なら欧州で長く走らせて、というのが一番現実的だが、莫大な費用がかかるのも事実だ。フォームが変わることによるデメリットだってある。
だから、挑戦し続けるしかない。

 

よく見られる「ダート馬を連れて行け」という言説には批判も多いが、個人的には「ダート馬を連れていけ」はともかく、「ダートでも芝でも強い馬を連れていけ」は正しいと思う(クリンチャーでそれは正しくないという人はいるが、そもそもクリンチャーは当時能力を発揮できる状態ではなかった)。エルコンドルパサーはデビューからダートで圧勝していたし、オルフェーヴルは産駒実績で隠れたダート適性があったと示している。
芝やダートなんて関係ない、どんな馬場でも走れるくらい強い馬を生産しよう、ということだ。
そこには適応力も含まれよう。過酷な坂にも耐えられるスタミナも必要だ。
挑戦して努力して、そういった馬をつくりだしていけばいい。

 

まとまりなく書いていったが、さらにまとまらずにもう少し。
馬場適性の話は書いたけど、おそらく多くの人が思うロンシャンに向く馬というのは、トルカータータッソなのだと思う。それは間違いないのは事実だ。今年も重い馬場をなんのそのという感じで追い込んできたのだから。
ただ、勝ったアルピニスタはそれ以上だったと思う。本当に重い馬場なのかと思うくらい、彼女は軽やかに走っていた。
だから、本当に適性があるというのは、アルピニスタのような馬なのかもしれない。
また、ジャパンカップでも凱旋門賞でも5着だったグランドグローリーだっている。
単純な「適性」だけでは片づけられない要素はいろいろとあるような気がしてならないが、それを書くとまとめきれないので割愛。

 

強い馬をつくる。
その理想を掲げて努力し続ける以外、凱旋門賞を勝つ道はないと思う。
その道のりは遠いかもしれないけど、案外近いかもしれない。
アメリカのダートG1を日本馬が勝てたように。