オグリキャップをもう一度

競馬好きの行政書士が競馬について気ままに書くブログ 馬主申請の代行も行っております

ご挨拶

初めまして。

当ブログにお越しくださいまして、誠にありがとうございます。

オグリキャップをもう一度」の管理人である、野田洋平と申します。

品川区の五反田にある「野田洋平行政書士事務所 」で行政書士をやっております。

主な業務として、法人設立や相続・遺言関連、補助金申請の手助けなどを手がけております。

それに加えて、最近は、馬主申請の代行もしております。

競馬好きなら、やはり馬主には憧れるもの。競馬好きとして、そのお手伝いが出来たら、と思っております。

 

まあ、そんな商売のお話は置いといて(置いておくのか)、なんでこのようなブログを開設したかについて、話します。

 

オグリキャップをもう一度」

オグリキャップ。昭和の最後~平成の初めに活躍した「芦毛の怪物」。地方競馬笠松競馬場でデビューし、12戦10勝の成績を引っ提げて4歳(現在の馬齢表記では3歳)時に中央競馬入り。そこから重賞6連勝を果たし、その後もタマモクロススーパークリークイナリワンヤエノムテキバンブーメモリーなどのライバルと数多くの名勝負を演じた馬。

2着に敗れたとはいえ、1着馬ホーリックスと同タイムで当時の2400mの世界レコード、2分22秒2で駆け抜けたジャパンカップは、今でも語り草となっている。

そして、何より、引退レースとなった有馬記念。不振に陥ったオグリキャップの復活劇。当時、18万人を集めた中山競馬場では、割れんばかりのオグリコールがこだました。

ぬいぐるみも販売され、たくさん売れた、日本競馬史上ナンバー1のアイドルホース。

それが、オグリキャップ

そして、私も、オグリキャップに魅了されて、競馬好きになった(小学生時代というのは内緒だ)。

血統は決して一流とは言えない(母ホワイトナルビーは優秀であるが)。生まれたときは、中央競馬のクラシックの登録もされず、そこまで期待されていなかった。そんな馬が、大レースをいくつも勝ち、日本中を熱狂の渦に巻き込んだ。おそらく、日本競馬史上、最も競馬が熱かった時代。

そんなオグリキャップに魅了された人であるから、もう一度、競馬が熱かった時代を蘇らせたい。

決して今の競馬がつまらないと言っているわけではない。社台グループの生産努力、世界のトップジョッキーが集まる環境、それらによって、日本競馬界は、世界でもトップレベルになったといっても間違いではない。

それでも、一頃よりは良くなったとはいえ、オグリキャップの時代に比べて競馬人口は減っている。

だからこそ、「オグリキャップをもう一度」なのである。

決して一流の血統ではないところからオグリキャップが生まれたように、社台グループ以外からでも世界に通じる名馬をつくりたい。

そんな名馬が生まれたら、もう一度名馬人口が増えるのではないか。

そして、日本に文化として競馬が位置付けられるのではないか。

そんなことを願いながら、このブログを書いていこうと思います。

 

オグリキャップのような名馬の馬主に、私が申請した人がなったら最高なんですけどね(笑)

 

というわけで、今後ともよろしくお願いします。

 

 

競馬界先週(8月30日~9月5日)の出来事と今週(9月6日~9月12日)の予定

【先週の出来事】

  • 8月31日(火)、川崎競馬場で行われたスパーキングサマーカップサルサディオーネが逃げ切り勝ち。
    このことはブログにも書きました。

  • 8月31日、JRA二冠馬ドゥラメンテが繁用されていた社台スタリオンステーションで亡くなりました。
    9歳という短すぎる生涯。
    お悔やみ申し上げます。

  • 9月1日(水)、門別競馬場で行われたびらとりオープンでトウキョウドライヴが勝利。
    管理している角川調教師が「スーパーステションを彷彿とさせる」というくらいの能力の持ち主。
    今後の活躍がさらに期待されます。
  • 9月1日、佐賀競馬場で行われたサマーチャンピオンでラプタスが勝利。
    JRAの騎手にコロナ感染者が出たことによる特別措置で、急遽佐賀競馬鮫島克也騎手が騎乗しましたが、代打であることを微塵も感じさせない見事な騎乗ぶりでした。さすがキングシャークです。
    ラプタスの最大目標は金沢で行われるJBCスプリントになりそうですが、出走するためにはもう少し賞金を積まないと厳しいところ。今後のローテが気になります。
  • 9月4日(土)、札幌競馬場で行われた札幌2歳ステークスはジオグリフが捲っての圧勝。
    種牡馬ドレフォンはこれがJRAで初の重賞勝利となりました。
    早期デビューも可能で、芝でもダートでも走る仔を出すドレフォン。この勝利でさらに馬産地での人気が高まりそうです。
  • 9月4日、ホッカイドウ競馬の林和弘調教師が亡くなりました。
    今年、父親が所有するラッキードリームで道営クラシック三冠を達成したばかり。
    名伯楽の早すぎる死は、個人的に衝撃的でした。
    お悔やみ申し上げます。
  • 9月5日(日)、小倉競馬場で行われた小倉2歳ステークスはナムラクレアが勝利。フェニックス賞に続いての連勝を飾りました。
    ナムラクレアは新馬戦、未勝利戦を勝っていませんが(平場のレースも勝っていない)、オープンと重賞を勝つという珍記録を達成。
    また、2着にスリーパーダが入り、ミッキーアイル産駒のワンツー決着。小倉2歳ステークスは昨年もミッキーアイル産駒のメイケイエールが勝ちましたし、ミッキーアイル産駒が好走しますね。
  • 9月5日、新潟競馬場で行われた新潟記念マイネルファンロンが勝利。先行してレースを進めることが多かった同馬を、今回初騎乗だったミルコ・デムーロ騎手が後方からレースを運ばせ差し切るというファインプレーな騎乗を披露。
    マイネルファンロンは今年のオークスデムーロ騎手を乗せて勝ったユーバーレーベンの兄。
    デムーロ騎手にとっても陣営にとっても嬉しい勝利だったのではないでしょうか。

 

【今週の予定】

  • 南関東競馬は大井開催。夏のスプリント王決定戦・アフター5スター賞と、伝統と格式のある一戦・東京記念が行われます。特に東京記念は前回の東京オリンピックを記念してつくられた競走。オリンピックがあった今年は、特に注目したいです。
    また、今開催の大井競馬は、トゥインクル35年ということで、レース名にトゥインクルレースを始めてからの出来事を付けています。これを機会に、トゥインクルレースの思い出などを語り合うのもいかがでしょうか。
  • 門別競馬では9月9日(木)に旭岳賞が行われます。
    クインズサターン、リンノレジェンド、リコーワルサーなど楽しみなメンバーが揃いました。
    特に、リンノレジェンドにとっては、以前管理していた林和師の弔い合戦にもなります。
    いい勝負を期待したいです。
  • 佐賀競馬では9月12日(日)にロータスクラウンが行われます。
    3歳馬による高知競馬との交流重賞
    互いの競馬場の意地をかけた熱い戦いに期待したいです。
  • JRAは今週から中山と中京の2場開催に。重賞は11日(土)に中山競馬場紫苑ステークスが、12日に中京競馬場セントウルステークス中山競馬場京成杯オータムハンデが行われます。
    この時期の中山は、開催があくうえ、夏を越すので、非常に馬場の状態が良くなります。また、エアレーションを施しており、クッション性も高くなります。そのため、芝は走りやすく、前も止まらないけど後ろも伸びるという馬場になります。
    基本は先行馬ですけど、意外と差し馬も台頭するのがこの開催です。
    狙いはとにかくスピードがある馬。血統的にはロードカナロア産駒です。
    対し、中京競馬場は今年かなり使われてきており、どこまで馬場が回復しているか見てみたいところ。そもそも本来なら阪神競馬場で開催される番組なので、例年よりもデータではなく当日の馬場等を見て判断した方がよさそうです。
  • 紫苑ステークスは、重賞になったことにより、以前より秋華賞へ直結しやすいレースとなりました。
    今年は牝馬クラシックの有力馬が独特な使われ方をしているので読みにくい一面もありますが、紫苑ステークスにも桜花賞3着のファインルージュやオークス3着のハギノピリナ、フラワーカップ勝ち馬ホウオウイクセルなど実績馬が登録しています。
  • セントウルステークスは、スプリンターズステークスへの最重要トライアルレース。
    今年は中京競馬場で行われるので、高松宮記念との親和性が高そう。
    注目は何と言ってもレシステンシアでしょう。
  • 京成杯オータムハンデは、前述したように馬場がいい状態で行われるので、スピード決着になりやすいです。
    ある程度前に来たい馬もいるので、今年は展開面もカギになりそう。

あまりにも短い、荒々しい馬生

キングカメハメハ×エアグルーヴプラスサンデーサイレンスの完成形。ドゥラメンテの馬体を表現すると、そうなるかと思います。
硬くて柔らかい。張りがある筋肉をまとっていながら、可動域が広く、柔軟性に富んでいる。そんな馬体。
その硬さと柔らかさは、同時に、馬体の緩さや怪我のしやすさにもつながっていたのかもしれません。
「まだ完成していない」
現役時、驚くようなパフォーマンスを見せながら、幾度も言われた言葉が、何よりの証拠だと思っています。
無事に完成したならば、どれだけ強い馬になっていたのだろう。そう思わせるには十分な馬でした。

完成形でありながら、完成していない。名器といわれるものが扱いにくいのと同様、ドゥラメンテ自身もおそろしいまでの才能を秘めているからこそ、扱いには慎重にならざるを得ない馬でした。
ドゥラメンテの特徴ともなったクロス鼻革。驚異のレースといわれた皐月賞。あふれる才能をコントロールできないくらいの馬でもありました。
まさに、ドゥラメンテ(荒々しい)という名にふさわしい馬だったと思います。

種牡馬としても、新種牡馬リーディングに、現時点で今年の2歳馬のリーディング。数字を見れば、さすがの成績を残しています。
なのに、どこか物足りなさを感じてしまう。ドゥラメンテであるが故に、ハードルを高く設定してしまうからでしょう。
正直なところ、ドゥラメンテは完成形であるが故に、超える馬を考えるのが難しい側面があります。最近の日本で生産された馬との配合では、血統的に逃げ場がない。良くも悪くもドゥラメンテの能力は伝えるけど、劣化コピーされたのが生まれてしまう感じでしょうか。
逃げ場がありそうな海外繁殖との配合だと、散漫というか、硬すぎるとか重すぎるとか柔らかすぎるとか、極端な形になる可能性が高くて、ギャンブルとなってしまう。
それでも好成績を残しているのは、ドゥラメンテの能力がもともと高いからなのでしょう。
だからこそ、ドゥラメンテを超えるような馬が出てくる場合、どんな血統から誕生するのか、楽しみでもありました。

それだけに、まだ2世代しか走っていない中での死は、あまりにも早すぎます。
最近の日本競馬の集大成ともいえる血統。後継が現れて、その血が遺ってもらいたいものです。

お悔やみ申し上げます。

夏に輝くサルサの女神 ~スパーキングサマーカップ・サルサディオーネの血統~

スパーキングサマーカップサルサディオーネが逃げ切った。
これでスパーキングレディーカップに続いて川崎マイルの重賞を連勝。一つはJRA交流、もう一つは牡馬とのレースと考えると、中身も濃い。
馬体の張り等見ても、今が充実期といえる。

妹のサルサレイアも頑張っている。
姉とは違って後方から捲り気味の競馬をするため勝ち味に遅いが、姉と同じJRA交流重賞にも出るくらいに成長した。
こちらも楽しみな一頭だ。

 

この2頭の母がサルサクイーン。的場文男騎手を乗せて東京プリンセス賞を勝った馬でもある。
繁殖牝馬としてサルサディオーネサルサレイアを輩出したとなると、名牝の一頭といってもいいだろう。

では、なぜサルサクイーンが繁殖牝馬として活躍馬を出せたのか。
もちろん、自身が東京プリンセス賞を勝つくらいの力があったことも理由のひとつであろうが、血統面からも考えてみたい。

 

サルサクイーンの輸入基礎牝馬は形の上ではハマナスⅡとなる。
ただ、血統的に語るならば、その両親であるLt.Stevensとナッシングライクアダム、そしてこれらの馬とノーザンテーストの関係から語るべきだろう。

まずは、ナッシングライクアダムとノーザンテーストの関係について。
この2頭の間にはシャダイダンサーという仔が生まれている。シャダイダンサーはノーザンテースト初年度の産駒であり、桜花賞3着になった馬でもある。
ノーザンテーストはその後サンデーサイレンスが来るまで日本でナンバー1種牡馬の地位を確立し、社台グループの発展に大きく寄与するのだが、そのきっかけとなったのがシャダイダンサーだったと言ってもいい。
だからというわけか、社台グループの創始者吉田善哉はナッシングライクアダムの血を重宝するようになる。

そのナッシングライクアダムにLt.Stevensが付けられて生まれたのがハマナスⅡ。シャダイダンサーの姉に当たる。
社台グループがハマナスⅡを輸入したのも、シャダイダンサーが活躍したからであろう。
社台グループはハマナスⅡにノーザンテーストを付ける。シャダイダンサーが走ったのだから、シャダイダンサーの半姉にノーザンテーストを付けるのもうまくいくだろう、という考えからだと思われる。
生まれたシャダイハマナスオークスエリザベス女王杯にも出走するオープン馬に成長。社台グループの目論見はまずまず成功したと言っていい。
その後、シャダイハマナスサルサクイーンの祖母となる。

今度はLt.Stevensとノーザンテーストについて書いていこう。
ノーザンテースト×母父Lt.Stevensの配合。競馬好きだと、シャダイハマナスではなく、一頭の馬を思い浮かべるのかもしれない。その一頭とはエレクトロアート、すなわちドリームジャーニーオルフェーヴルの祖母である。
オルフェーヴルなどのきょうだいが成功した理由をステイゴールド×母父メジロマックイーンの黄金配合とする人は多いが、個人的にはエレクトロアートにあるノーザンテースト×母父Lt.Stevensと、ステイゴールド側にあるダイナサッシュへスピードを供給しているノーザンテーストが上手にインブリードされたからだと思っている。
そういうわけで、ノーザンテースト×母父Lt.Stevensは母方に入って活躍馬を出す血となる要素を持っている。
それはなぜかと言えば、Lt.Stevensの血統にもあるのだろう。
Lt.Stevensの全妹はThongである。ThongからはSpecialなど名繁殖牝馬が誕生し、いまや日本の競馬界で、なくてはならない血となっている。
だから、Lt.Stevensの血を持った馬から名馬が出てくるというのだ。

このような血統背景を持っているサルサクイーンにゴールドアリュールを付けて生まれたのが、サルサディオーネである。
ゴールドアリュールの母ニキーヤもいい馬を多数輩出する名牝であり、その父はNureyev、つまり、Thongの血を持った馬となる。
そうすると、サルサディオーネには名牝を通じてのThongとLt.Stevensのきょうだいインブリードが成立することになる。
このインブリードがどこまで影響しているかわからないが、サルサディオーネの血統を語るうえで必須なのは間違いないように思える。

このように紡がれていく血の物語。
サルサディオーネは今後も活躍し、繁殖牝馬としてもいい子を出してもらいたい。

ながくつづくもの

柴田善臣騎手が8月8日にレパードSを勝ち、JRAの最年長重賞勝利記録を更新しました。
そうしたら、翌日9日にクラスターCでまたしても柴田善臣騎手が勝利。2日連続で重賞勝ちを収めたとともに、またもやJRA最年長重賞勝利記録を更新。
55歳にして2日連続重賞制覇、しかもJRA最年長重賞勝利記録更新のおまけつきというのですから、大したものです。
特に、クラスターCで内を突いて差してきた騎乗は見事でした。
ベテランの腕健在、といったところですね。

柴田善臣騎手がレパードSに乗っていたのがメイショウムラクモ、クラスターCに乗っていたのがリュウノユキナ。
今回は、その2頭の血統について書いてみます。

 

メイショウムラクモの輸入基礎牝馬はフロリースカツプといいます。
1907年、小岩井農場が「日本でも優秀な馬を」ということで、イギリスから基礎牝馬として良血な牝馬を20頭輸入してきました。そのうちの一頭がフロリースカツプでした。
フロリースカツプの牝系からはコダマやキタノカチドキニホンピロウイナーシスタートウショウスペシャルウィークウオッカなど名馬が多数出ております。
最近では、以前日記に書きましたが、レイパパレがこの牝系の出。

またまたこの牝系から活躍馬が出たことになります。

フロリースカツプの牝系でも特に活躍馬が多いのがライトフレームのファミリー。メイショウムラクモもこのライトフレームのファミリーですし、先ほど挙げた馬ではキタノカチドキニホンピロウイナーがそこに名を連ねております。
ニホンピロウイナー産駒と言ったらやはりヤマニンゼファー安田記念柴田善臣騎手に初G1制覇をもたらした馬でした。
柴田善臣騎手は、またライトフレームの血を持った馬で記録と作ったことになるわけです。
 

フロリースカツプ以外にも小岩井農場が輸入してきた繁殖牝馬は優秀でした。前日書いたプロポンチスもその一頭です。
その中でも、フロリースカツプと同じくらい繁栄した優秀な牝系が、ビユーチフルドリーマー系です。
フロリースカツプがコダマなら、ビユーチフルドリーマーからはシンザン。フロリースカツプがニホンピロウイナーなら、ビユーチフルドリーマーからはニッポーテイオー
シンザンという日本史上最大の名馬を輩出していることもあり、ビユーチフルドリーマーは岩手競馬でレース名になるくらい日本競馬に多大なる貢献をしてきました。
そんなビユーチフルドリーマー系は、近年ではワールドハヤブサを導入した千代田牧場を中心に残っています。
リュウノユキナは生産者こそ千代田牧場ではなく藤川ファームですが、ワールドハヤブサを祖とする馬。祖母ナギサは京都牝馬特別で2着になるなど重賞で活躍した名馬でした。
近年でもスマハマやグレイトパールなど活躍馬はいるものの、フロリースカツプ系に比べるとやや地味な印象のビユーチフルドリーマー系。それでもリュウノユキナのように6歳になってさらに強くなる馬を出すなど、底力は健在。
リュウノユキナは父ヴァーミリオンでもあり、ぜひとも種牡馬となってその血を残してもらいたい血統だと思っています。

 

ベテラン柴田善臣騎手の偉業を支えたのが日本の伝統的な牝系出身の2頭なのも、歴史が積み重なり繋いでいく競馬のロマンを表しているように感じます。そして、これだけ柴田善臣騎手の騎手生活やフロリースカツプ、ビユーチフルドリーマーの牝系が長く続いているのも、そこに確かな実力があるからなんでしょう。
これからも、ながくつづきますように。

スポーツの祭典とファインポート

東京オリンピックが終了した。
種々のゴタゴタに加え、コロナ禍においてスポーツの祭典たるオリンピックを開催する意義はあったか、など問題もあったかもしれないが、開催してからは大きな事件もなく、日本勢のメダルも相まって、開催したのは悪くなかったのではないか、という想いはある。
何より、オリンピックに向けて鍛錬を積んだ選手の皆様、その努力と奮闘ぶりには拍手を送りたかった.。

オリンピックと馬の話を少々。
オリンピックに競馬はないが、馬術はある。
馬場馬術での普段は見られないような馬の動き。人馬一体となったときの美しさ(残念な事案も見られたが、それについては割愛)。
今回、総合馬術で戸本一真選手が4位入賞、障害馬術で福島大輔選手が6位入賞と、馬術では89年ぶりに日本勢が入賞を果たしたのも注目を集めた。
今回のオリンピックで馬術に興味を持った人も増えたのではないか、と思う。

 

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オリンピックの盛り上がりの裏で、JRAの新潟開催では先週、今週と、最低人気の馬が複勝圏内に入って荒れるという事態が起こった。
関越Sのソッサスブレイに、メイクデビュー新潟のカブラヤジョウ。
実は、この2頭には共通点がある。それは、いずれも曾祖母がライフポートであることだ。
ライフポート。全姉が東京3歳優駿牝馬(当時。現在では東京2歳優駿牝馬)、桜花賞関東オークスを制した名牝グレイスタイザン、自身は川崎競馬の下級条件ながら6戦6勝の無敗で競走生活を終えるという、知る人ぞ知る名牝。母としても東京3歳優駿牝馬桜花賞を制したダイアモンドコアを出すなど優秀だった。

そんなライフポートの血で忘れてはいけないのが、ファインポートの存在である。
ファインポートJRAで言うとテンポイントトウショウボーイグリーングラスなどと同世代。4歳時(現在でいう3歳時)に当時は3000mであった東京大賞典に出走し、ダートでありながらその年のグリーングラスが勝った菊花賞より早い時計で勝っている。
地方競馬の馬で良血牝馬が集まらなかっただけでなく、牝馬の好みが限定されていたうえに、繁殖能力があまりなかったことから、産駒は少なかったが、重賞勝ち馬を輩出するなど、能力の高さは伝えていた。
そんなファインポートの仔だから、ライフポートの血は粘り強く活躍しているのだろう。

 

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ファインポートの血は、実はオリンピックにも関係がある。
ファインポートの牝系を辿ると、小岩井農場の基礎繁殖牝馬の一頭であるプロポンチスという牝馬に行きつく。
プロポンチスの孫にアスコットという馬がいた。天皇賞の前身である帝室御賞典を勝つほどの名馬であったが、引退後、ベルリンオリンピック馬術競技に出場している。乗っていたのはその前のロサンゼルスオリンピックで金メダルをとった「バロン西」こと西竹一。
結果は12位だったが、西からさらに馬術用の馬として訓練すれば金メダルが取れるくらいになると、その素質を評価された。
ただ、1940年に行われるはずだった東京オリンピックが幻に終わり、その後の第二次世界大戦等の戦況悪化により、金メダルをとるという夢はいつしか消えてしまった。
ちなみに、今回のオリンピックで89年ぶりの入賞と書いたが、その89年前がロサンゼルスオリンピックでの西の金メダルというのだから、西の凄さを実感するとともに、今回の入賞が偉業であることが分かる。

 

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オリンピックはスポーツの祭典。
スポーツの語源はラテン語で運搬するという意味の「deportare」と言われている。そこから憂いを運び去る→気晴らしという意味が付与されて、スポーツという言葉ができた。
運搬するという意味のdeportareは、同時に港を意味するportの語源でもある。
ファインポート、すなわち良い港。語源を考えると、憂いを運び去り、楽しみを持ってくる、いかにもスポーツの祭典・オリンピックに相応しい名前とも思える。
さすがに無理があるかもしれないけど、だからオリンピック期間中にファインポートの血を持った馬が活躍したのかもしれない。
そんな感想が運び込まれても、いいのではないだろうか。

叡智の光でゆくてを照らせ ~ブリーダーズゴールドジュニアカップ・シャルフジン~

衝撃が走った。
4月1日の門別競馬場。その日は能力検定試験が行われていた。その第3レースで47秒7という、2歳馬の能力検定試験で歴代最速の時計が出された。
いくら当日の馬場が時計の出やすいものであったにせよ、4月の2歳馬では考えにくい時計だ。しかも、大幅にリードを拡げてのもの。
そんな怪時計をたたき出した馬がシャルフジンだった。父がヘニーヒューズで、半兄がファルコンビーク。それならこのスピードも納得、ということで、道営の怪物候補誕生と騒がれた。

デビュー戦は一番人気に応え、2着に1秒8差をつける圧勝。
それでも能検で見せた走りに比べると、追ってからが物足りないなんて声も聞かれた。

つづく栄冠賞は道中かかり気味に逃げて4着。
スピード能力はあるけど、いろいろと改善しないといけないところはある。多くの人がそんな印象を抱いたかと思う。

だから、1700mに延長する今回では一番人気にならなかった。距離延長を不安視する声が多かった。
それが、終わってみたら番手につけてから直線抜け出し、5馬身差の圧勝。
強かった。

走り方を見ると、跳びが大きいのが特徴の同馬。むしろ距離延長で本領が発揮されたのかもしれない。
血統的にも、サクラチトセオーなどを出しているクレア―ブリッジの牝系。少なくともマイルは大丈夫の血であり、能力の違いがあれば中距離もこなせる。
新馬戦、栄冠賞での走りは、折り合いに気を付ければむしろ距離が伸びても大丈夫ということを表していたのかもしれない。

シャルフジンはドイツ語で「叡智」という意味である。
陣営の叡智が実り、距離延長も大丈夫だということが分かった。
今回の勝利で、シャルフジンのゆくては、明るく照らされる。

ヴァンセンヌを考える

高知優駿は地元生え抜きの意地を見せてハルノインパクトが優勝した。これで黒潮皐月賞に続いて二冠達成。
高知優駿には、大外枠から4着に粘った佐賀の二冠馬トゥルスウィーも参戦していた。
この二冠馬には共通点がある。2頭とも父がヴァンセンヌなのだ。

ヴァンセンヌ。父は言わずと知れたディープインパクト。母はスプリンターズSなどを勝ったフラワーパーク。自身の主な勝ち鞍は東京新聞杯
このように書くと、産駒は基本的に芝の短距離が適しているように思える。
それが、地方重賞とはいえダートの2000mの大きなレースを勝つというのは、意外だ。
もちろん、母方の血の影響もあるとは思う。
ただ、それだけではなぜヴァンセンヌの産駒が2頭も二冠を達成したか、説明しにくい。
なので、なぜヴァンセンヌの産駒で同じ年に2頭の二冠馬が誕生したか、考えてみることにした。

 

①遺伝子的見地
動物にはミオスタチン遺伝子という筋肉の増加を抑制する遺伝子がある。
サラブレッドの祖先は筋肉の増加を抑制しやすいミオスタチン遺伝子T型しかもっていなかったという(これは父方を辿っての研究であり、母方には筋肉の増加を抑制しないC型を持っていたという説もある)。このミオスタチン遺伝子T型というのは、筋肉の増加を抑制することから、無駄なエネルギーを使わなくなるので、持久力が高くなることにつながる。
対し、筋肉の増加を抑制しないC型というのがある(サラブレッドでミオスタチン遺伝子C型が検出されたのはニアークティックからというのが通説)。こちらは筋肉が増加しやすいことから、スピードに富むという特徴がある。
そして、遺伝子というのは対になっているため、TT型、CT型、CC型の3種が存在することになる。近年の研究ではざっくり言ってTT型が長距離馬、CT型が中距離馬、CC型が短距離馬になりやすいという結果が出ている。
ディープインパクトミオスタチン遺伝子は半ば公表されており、TT型であるとされている。つまり、長距離型だ。
ディープインパクトが長距離レースでそこまで強くないのは、非力であり別のスタミナを消費してしまうからというのと、その非力さを補うためにCC型の繁殖牝馬と種付けするから、というのが推論としてある。とはいえ、少なくとも産駒はCT型であり、中距離までで活躍した馬であっても仔にはT型が遺伝する可能性はある。
つまり、ヴァンセンヌもおそらくCT型であり、仔にT型が遺伝すればスタミナがある馬になりやすくなる。
なので、母方によってはパワーのある長距離馬が生まれるのである。
※あくまでこのような傾向があるという話であり、TT型が絶対短距離では勝てない、CC型が絶対に長距離では勝てないというわけではない。

 

②母方の話
ディープインパクト産駒で走った馬の血統を見ると、母の父がほとんどアルファベット表記orクロフネキングカメハメハであることに気づく。つまり、母の父は外国馬か、海外からの持ち込み血統であるということだ。
おそらく多くはCC型orCT型の繁殖牝馬であり、ディープインパクトに不足しているパワー的スピードを補うためにつけられたものばかりであろう。
そんな中、ヴァンセンヌの母の父はニホンピロウイナー。日本で生産され、安田記念などを勝ったスピード馬であった。
種牡馬としても活躍したが、産駒もフラワーパークやヤマニンゼファーなど短距離、長くて2000mまでという馬が多かった。
しかし、ニホンピロウイナーからは菊花賞3着となるメガスターダムも出ており、単純な短距離馬しか出さない種牡馬ではなかった。
おそらくその一因となっているのは、ニホンピロウイナーの牝系にあろう。
フロリースカツプ。小岩井農場の基幹牝馬であり、コダマやスペシャルウィークウオッカなどクラシックホースを輩出している牝系だ。近年ではレイパパレがこの牝系の出であり、先日そのことをブログに書いた。

これだけクラシックを勝つ馬を出しているのだから、スタミナがある血も持っているのだろう。
母の父ニホンピロウイナーだからと言って、その産駒がすべて短距離馬になるわけではない。

 

以上のことを考えると、ヴァンセンヌからはイメージとは違ってスタミナがある産駒も出てくるということになる。
同じ年に2頭の二冠馬が生まれたのは奇跡に等しいが、種牡馬にはよく走る馬が多いヴィンテージイヤーみたいなものがある。タイミングがうまくはまったのだろう。
今後もヴァンセンヌの産駒が走るかはわからない。おそらく繁殖牝馬の質によるだろう。
ただ、走る可能性はないとはいえない。
ディープインパクト×母方に日本古来の血が入っているという種牡馬は珍しいので、地道に実績をあげて、頑張ってもらいたい。