オグリキャップをもう一度

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トキノノゾミがたんぽぽ賞を勝ったことで考えるいくつかのこと

前回のブログで書いたブラヴールが京浜盃も制覇。

keiba-gyoseisyoshi.hatenablog.com

南関東競馬所縁の血統馬が同じ舞台で活躍するのって、いいですよね。「競馬は血統のロマン」といわれる意味がよくわかります。

 

さて、今回の本題へ。

ネタとしては2月の出来事なので、古くなってはいますが、いろいろと勉強になるところがありましたので。

2月27日、佐賀競馬場JRA交流たんぽぽ賞が行われ、川崎の八木正喜厩舎所属のトキノノゾミが優勝しました。同レースは九州産の馬限定の競走で、地方勢が勝つのは14年ぶりという快挙でした。

もちろん、14年ぶりに地方勢が勝ったというのも大きな出来事に違いありません。

ただ、それだけでなく、トキノノゾミが勝ったというのは、九州の馬産地全体で考えて象徴的なことだったと思われるのです。

 

①そもそもこの血統の馬が九州産でいたのか

フリオーソ×母父ゴールドアリュール。個人的にニックス配合だと思う上に、客観的にもダート競馬で考えたらなかなかいい血統。全兄ステラライトは黒潮盃にも出走したくらいの活躍馬でしたし、なにしろ「華麗なる一族」であるイツトーの牝系。

母プラチナアリュールを購入した田上勝雄さんの決断は、なかなかのものだったと思います。

古くは火山性の牧草に適した地帯であったことから馬の生産に向いていた宮崎県ですが、近年は牧場の数も生産数も施設も圧倒的な北海道に押され、衰退気味。

それでも、少しでも強い馬をつくろうという心意気は持ち続けているという印象を受けました。

 

九州産馬でも1000万円以上で落札された

トキノノゾミはJRAブリーズアップセールで1100万円で落札されました。これは、一般的に北海道産の馬より力が劣るといわれている九州産の馬では異例の価格です。

そうなると、購入代金を回収するのは困難なのでは、と常識的には考えられます。

しかし、たんぽぽ賞を勝ったことによって、獲得賞金は1202万円に。諸経費等を考えれば完全に回収したことにはなりませんが、購入代金以上の賞金は稼いだことになります。

 

南関東に入った

トキノノゾミが今までの九州産と違うのは、血統面もありますが、南関東に入れたということにあると思います。

基本的に九州産馬は九州に競馬場のあるJRA佐賀競馬に入ることが多いです。

JRAに入れば、九州産馬限定のひまわり賞とこのたんぽぽ賞を勝てば、3000万円近く稼ぐことは可能です。ただ、厩舎への預託料は地方よりも高く、諸経費はかかります。そのうえ、JRAで3000万円も稼ぐと以降のレースは強敵ぞろいとなってしまい、よほどの強さを持った馬でないと大敗続きで賞金が入らなくなってしまいます。

かといって、佐賀競馬所属ですと賞金が安い。たんぽぽ賞を勝てばかなりの賞金を手に入れることができますが、ずっとJRA勢に勝てなかったことからわかるように、施設の面で難しいのも事実です。

しかし、南関東なら佐賀よりは諸経費が掛かるものの、JRAより格安で馬を預けることができます。また、賞金もJRAほどでないにしても、そこそこあります。たんぽぽ賞を勝ってクラスが上がったとしても、ある程度血統がよくたんぽぽ賞を勝てるレベルにある馬なら、その後も入着、場合によっては勝つことも可能だと思われます。

 

そうすると、「あえて九州産の馬を狙う」という戦略もありなのかもしれません。

確かに今回は受胎していた母馬が九州に移って産んだ仔という特殊ケースではありますが、今後もそのケースには注目しないといけないと思います。

 

ちなみに、たんぽぽ賞2着馬ウィンウィンボルトは道営デビュー後佐賀に移籍した馬。ホッカイドウ競馬は2歳の早い時期から走らせることができるうえに、育成施設も充実しており、そこで鍛えて転入というのは昔から多くありました。輸送費等かかりますが、メリットも多いと思います。

 

JRAでは青森県産のミライヘノツバサが重賞のダイヤモンドSを勝ったように、北海道以外の場所で生産された馬の活躍が目立っています。

このような掘り出し物を見つけるのも馬主生活の醍醐味かもしれませんね。