オグリキャップをもう一度

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夏に輝くサルサの女神 ~スパーキングサマーカップ・サルサディオーネの血統~

スパーキングサマーカップサルサディオーネが逃げ切った。
これでスパーキングレディーカップに続いて川崎マイルの重賞を連勝。一つはJRA交流、もう一つは牡馬とのレースと考えると、中身も濃い。
馬体の張り等見ても、今が充実期といえる。

妹のサルサレイアも頑張っている。
姉とは違って後方から捲り気味の競馬をするため勝ち味に遅いが、姉と同じJRA交流重賞にも出るくらいに成長した。
こちらも楽しみな一頭だ。

 

この2頭の母がサルサクイーン。的場文男騎手を乗せて東京プリンセス賞を勝った馬でもある。
繁殖牝馬としてサルサディオーネサルサレイアを輩出したとなると、名牝の一頭といってもいいだろう。

では、なぜサルサクイーンが繁殖牝馬として活躍馬を出せたのか。
もちろん、自身が東京プリンセス賞を勝つくらいの力があったことも理由のひとつであろうが、血統面からも考えてみたい。

 

サルサクイーンの輸入基礎牝馬は形の上ではハマナスⅡとなる。
ただ、血統的に語るならば、その両親であるLt.Stevensとナッシングライクアダム、そしてこれらの馬とノーザンテーストの関係から語るべきだろう。

まずは、ナッシングライクアダムとノーザンテーストの関係について。
この2頭の間にはシャダイダンサーという仔が生まれている。シャダイダンサーはノーザンテースト初年度の産駒であり、桜花賞3着になった馬でもある。
ノーザンテーストはその後サンデーサイレンスが来るまで日本でナンバー1種牡馬の地位を確立し、社台グループの発展に大きく寄与するのだが、そのきっかけとなったのがシャダイダンサーだったと言ってもいい。
だからというわけか、社台グループの創始者吉田善哉はナッシングライクアダムの血を重宝するようになる。

そのナッシングライクアダムにLt.Stevensが付けられて生まれたのがハマナスⅡ。シャダイダンサーの姉に当たる。
社台グループがハマナスⅡを輸入したのも、シャダイダンサーが活躍したからであろう。
社台グループはハマナスⅡにノーザンテーストを付ける。シャダイダンサーが走ったのだから、シャダイダンサーの半姉にノーザンテーストを付けるのもうまくいくだろう、という考えからだと思われる。
生まれたシャダイハマナスオークスエリザベス女王杯にも出走するオープン馬に成長。社台グループの目論見はまずまず成功したと言っていい。
その後、シャダイハマナスサルサクイーンの祖母となる。

今度はLt.Stevensとノーザンテーストについて書いていこう。
ノーザンテースト×母父Lt.Stevensの配合。競馬好きだと、シャダイハマナスではなく、一頭の馬を思い浮かべるのかもしれない。その一頭とはエレクトロアート、すなわちドリームジャーニーオルフェーヴルの祖母である。
オルフェーヴルなどのきょうだいが成功した理由をステイゴールド×母父メジロマックイーンの黄金配合とする人は多いが、個人的にはエレクトロアートにあるノーザンテースト×母父Lt.Stevensと、ステイゴールド側にあるダイナサッシュへスピードを供給しているノーザンテーストが上手にインブリードされたからだと思っている。
そういうわけで、ノーザンテースト×母父Lt.Stevensは母方に入って活躍馬を出す血となる要素を持っている。
それはなぜかと言えば、Lt.Stevensの血統にもあるのだろう。
Lt.Stevensの全妹はThongである。ThongからはSpecialなど名繁殖牝馬が誕生し、いまや日本の競馬界で、なくてはならない血となっている。
だから、Lt.Stevensの血を持った馬から名馬が出てくるというのだ。

このような血統背景を持っているサルサクイーンにゴールドアリュールを付けて生まれたのが、サルサディオーネである。
ゴールドアリュールの母ニキーヤもいい馬を多数輩出する名牝であり、その父はNureyev、つまり、Thongの血を持った馬となる。
そうすると、サルサディオーネには名牝を通じてのThongとLt.Stevensのきょうだいインブリードが成立することになる。
このインブリードがどこまで影響しているかわからないが、サルサディオーネの血統を語るうえで必須なのは間違いないように思える。

このように紡がれていく血の物語。
サルサディオーネは今後も活躍し、繁殖牝馬としてもいい子を出してもらいたい。