今更だけどJBCについて
この秋は、コロナ禍においても頑張って続けている競馬界へのご褒美なのでしょうか、次々と記録的なことが起こっています。
そういうわけで、11月はブログネタにしたいことがたくさんあったのですが、筆不精で気がついたら12月となってしまいました。12月にもなって先月のことを振り返るのも季節外れな感もしますが、備忘録も兼ねてwebという広大な情報の海に流していこうと思います。
今回は、JBCについてです。
1日にG1レースをいくつも行う先駆けとなったアメリカのブリーダーズカップは、そのレースの多様性から、現代競馬の血統トレンドを知るのに役立っているという一面もあります。
では日本のJBCはどうなのか。日本の生産者のため、と考えれば、少なくとも日本の生産者に寄与するだけのものがあると思うのです。上位に来た馬の血統は、生産者にとって配合のヒントになるかもしれませんし。
そういうわけで、今回はJBCで勝った馬の血統について書いていこうと思います。といっても、JBCクラシックを勝ったクリソベリルについては以前書きましたし
keiba-gyoseisyoshi.hatenablog.com
今回は他の3頭について述べようと思います。
まずは、JBCレディスクラシックを勝ったファッショニスタについて。
近親にHenrythenavigatorやリッスン等欧州で実績のある馬がいる血統。日本でもそれなりに活躍している馬を出している牝系ですが、ちょっともっさりしているのが多いイメージです。
ただ、母父がコロナズドクエストでよりパワー型にしたうえで、ストリートセンスをつけてミスプロのクロスですから、日本のダートを走り切れるタフさはあるのでしょうね。
そういう意味では、Rivermanというのもタフさを上乗せする血ですので、いいのかもしれません。クリソベリルの母方にも入っていますし。
マドラスチェックとの叩き合いを制したタフさは、血統面からも説明できるんでしょうね。
レース順でいいますと、お次はJBCスプリント。サブノジュニアの出番です。
サブノイナズマの仔はよく走る。JBCクラシックではサブノクロヒョウも走っていますし、南関東ではおなじみの繁殖牝馬となっています。
どうして走るのだろうと思って血統表を見たら、Sex Appealの文字。そりゃ走るわけです。
Sex Appealはトライマイベストやエルグランセニョールを輩出した名牝。あのアーモンドアイもこの牝系ですし、ダート界ですとインペリシャブルもSex Appeal牝系です。世界的にも、Sex appealの母Best in Showの系譜ですけど、Siskinも出てきていますし、今なお活力のある牝系、いや、世界で一番活力のある牝系といっても過言ではありません。
この牝系の特徴は、パワーを含めてある程度カシっとしたスピードを伝えること。アーモンドアイは緩さと硬さが最適なバランスでブレンドされた感じを受けますが、その硬さとスピードは牝系から受け継がれているといってもいいでしょう。
そこに日本ダート界では安定のサウスヴィグラスをつけるのですから、これだけ活躍するわけです。
レースを覚えさせるためにわざと内に入れたり、的場クリニックで我慢させたり、敢えてマイルを使ったり…。陣営のこれまで行ってきた努力が実を結んだ勝利。南関東競馬好きの私としては、嬉しい勝利でした。
最後は、新設されたJBC2歳優駿を制したラッキードリームについて。
南関東競馬好きであるならば、やはり道営競馬も見ないと。ということで、3月からは門別競馬の能検もじっくり見るということをここ数年しております。
そんな中、シニスターミニスター産駒でいい動きをしているのが何頭かいるな。そう思ったうちの一頭が、ラッキードリームでした。
馬主を見たら、林正夫先生。これは見所あるということだな、と思って血統を見たら、母がサクラスリールでした。
ということは、カプリフレイバーの弟ということか。これは注目しておかないと、と思って追いかけ続けていたら、この勝利。自分の馬を見る目が合っていた、という自信にもなる嬉しい勝利でした。
改めて血統面について話してみます。母サクラスリールは次世代の南関東スプリント王候補カプリフレイバーも生んでいるように、優秀な繁殖牝馬です。その源は何かと問われたら、やはりスワンズウッドグローヴ牝系(Friar's Daughter牝系の方が通りがいい?)であることに尽きるでしょう。
スワンズウッドグローヴ。一時代を築いたサクラの基礎牝馬です。サクラチヨノオー、サクラホクトオー、サクラセカイオー、サクラエイコウオーなどなど、数多くの名馬を輩出しました。
同時に、この牝系からは、イエローパワー、レジェンドハンターのように、ダートでスピードを持った馬も出しているのです。
そのスピード面が、サクラスリールの繁殖牝馬としての良さにつながっているのだと思います。
サクラの馬は少なくなってしまいましたが、それでも時々こういった形でサクラの血が出てくるのは、ブラッドスポーツである競馬の良さを再認識しますね。
改めてJBC勝ち馬の血統を見ていると、新たな発見もあり、楽しいものでした。
血統理論は正直結果論、後付けであるところはあります。同じ配合をしても、同じ強さの馬ができるわけではありません。
ただ、血統はこれまでの競馬関係者が積み重ねた結晶ともいえます。その結晶には何らかのヒントがある。JBCは生産者のためのレースでもありますし、勝ち馬の血統を探ることは、生産者のより良い馬の生産につながるのではないか、とも思います。
今回はこんなところで。