オグリキャップをもう一度

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恋は盲目な状態からアカイイトで結ばれて幸になった話 ~エリザベス女王杯~

「恋は盲目」とヴェニスの商人のセリフにあるように、今も昔もカップルの多くは好きになってしまったら周りが見えなくなってしまう。
あなたに夢中。欠点だって長所に見えてしまう。あばたもえくぼだし、ダメなところが可愛く思えてしまうのである。

最たる例、と言ったら怒られるかもしれない。ただ、母親の金銭問題等スキャンダルがあった小室圭さんと眞子さんの夫妻に対して「恋は盲目」という言葉が浴びせられることもあったのは事実だ。
それでも二人は愛を貫き、成婚。眞子さんは皇室を出て、アメリカに拠点を移して二人で生活することになった。
渡米して笑顔を見せた眞子さんを見たら、お金の問題等あるにせよ、二人の恋愛事情や生活について、もう追求する必要は無いように思えた。少なくとも二人の間では幸せな生活であるのだから。

 

日本が皇室なら、英国は王室・エリザベス女王
11月14日、阪神競馬場エリザベス女王杯が行われた。
勝ったのはアカイイト。10番人気という人気薄での勝利だった。
人気薄であったため、この勝利はオカルト馬券・サイン馬券という声があがっている。すなわち、小室圭・眞子夫妻が愛を貫いて渡米した日であったからアカイイトが勝ったというのだ。

オカルト馬券については他にもあるようで、アカイイトが勝ったから2着に赤い帽子3枠のステラリアがきて、3着にカーネーション(赤)という意味のクラヴェルがきたというのもあった。
それならなんでアカイトリノムスメではないんだとか、3枠のランブリングアレーでもいいではないかとか、ツッコミどころはいろいろあるが、オカルト馬券やサイン馬券は決着して始めた気がつくようなものなので、しょうがない。特にオカルトは「隠されたもの」が語源であるから、レース前に気がついてしまったらオカルトではなくなる。まあ、言い訳のようなものであるが。
それに、オカルト馬券やサイン馬券といったものは、見つけたからといって決まるわけではない。
例えば、13日にオースミ「マコ」の仔で「ナリタ」イチモンジという馬が出走した。そのため、眞子さんが成田空港から渡米するのでサイン馬券ではないかと一部で話題になった。
しかし、結果は5着。そうそう都合よく決まるものではないのだ。

なお、アカイイトはオカルト馬券・サイン馬券界隈ではちょっと有名な馬で、星野源さんと新垣結衣さんが結婚を発表した週に激走したという過去も持っている。その時の枠は、赤い帽子の3枠であった。
ちなみに、新垣結衣さんは「赤い糸」という曲を出したこともある。そう書くと、よりサイン馬券っぽくなるから不思議だ。

 

ただ、こうもサイン馬券だオカルト馬券だと書かれると、アカイイトが可哀想になってくる。
調教での動きは良かったし、2200mでの連対経験もある。阪神コースで勝ったこともある。
それに、宝塚記念もそうであるように、馬場が痛んできたときの阪神芝2200mは外枠が有利になるのだから。

 

そんなアカイイトの血統面も見てみよう。
父はキズナディープインパクト×母父Storm Catというニックス配合の代表例だ。
だから、キズナ産駒はニックスの要素となるものを受け継いでいる配合をされた馬が走ると言われている。つまり、Storm Catを構成する血統のニアリークロスだ。
例えばStorm BirdNijinskyとか、SecretariatNasrullahPrincequilloとか、Eight Thirty≒War Relicとかの血を持った馬との配合だ。
特に有名なのがNijinskyで、ディープボンドやクリスタルブラック、ファインルージュなどがいる。そして、アカイイトもまた、母方にNijinskyを持っているのだ。

Nijinskyが出たのなら、アカイイトの母父シンボリクリスエスキズナについても語らないといけない。
シンボリクリスエスNijinskyキズナのライバルであったエピファネイアを構成する血である。
となると、アカイイトキズナとそのライバルエピファネイアを混ぜ合わせたかのような血統構成になる。
ライバルの力を借りて強くなる。少年漫画ならとても熱い話だ。
競馬界にはそんなロマンが現実としてある。

と、ここまで血統面について書いてきたが、あえて書かなかったことがある。それは、牝系についてだ。
初めにアカイイトの5代血統表を見たとき、その牝系図から活躍馬を見つけることが出来なかった。だから、牝系からは書くことがないかな、と思っていた。
それでも一応辿ってみるかと遡っていくと、牝系図に一頭の名前が現れた。Tom Foolである。アカイイトTom Foolの母Gagaの牝系だったのだ。
Tom Foolアメリカで30戦21勝という驚異的な成績を残した名馬。種牡馬としてもBuckpasserなどを出し、成功した。
先ほどキズナ産駒はStorm Catを構成する血統のニアリークロスを持った馬が走りやすいと書いた。実は母方にTom Foolの血を持った馬も、その条件に当てはまるのだ。
そもそもディープインパクトStorm Catがニックスとなる理由の一つに、ディープインパクトに入っているAtticaとStorm Catに入っているFirst Roseのニアリークロス関係がある。そして、Tom Foolは特にFirst Roseと血統構成が似ており(Menowが共通、母父Bull DogとSir Gallahadはきょうだいの関係)、Atticaともニアリークロスが成立する関係にあるのだ。
アカイイトの母父であるシンボリクリスエスTom Foolの血を持っている。
そして、当たり前だがアカイイトボトムラインである牝系は、Tom Foolの母Gagaから繋がっているのだから、Tom Foolの血と強くかかわりがある。
つまり、ニックスの要素と考えられているものが、牝系から父親までしっかりと重なり続けているのである。

 

それにしても、競走馬としても種牡馬としても優秀なTom Foolなのに、馬名を直訳すると「馬鹿者」となるのは、馬にとって可哀想な気もする。
なんでこんな酷い名前がつかられたかというと、母Gagaアメリカのスラングで「頭がおかしくなっている」といった意味であるからだと言われている。
ただ、同時にGagaには「(頭がおかしくなるくらい)夢中になる」といった意味合いもあるらしい。
そうすると、恋は盲目、恋愛であなたに夢中となってしまう状態も「Gaga」と言えるのかもしれない。
そんな意味を持つGagaの牝系から、アカイイトが生まれ、G1を制した。そのとき乗っていた騎手が幸というのも、夢中になって恋をして赤い糸で結ばれて幸せな結末を迎えたという物語が描かれたかのようで、出来すぎである。
まあ、赤い糸が運命であるならば、出来すぎた物語になるのも当然ではあるが。