リステッド競走であるジュニアカップを勝ったヴェイルネビュラ、京都金杯を勝ったケイデンスコールと、1月5日は主要なレースで父ロードカナロア×母父ハーツクライの馬が2頭勝ちました。この組み合わせは元日に川崎競馬で下級条件とはいえイチリュウマンバイも勝っており、今年早くも3勝したことになります。
母父ハーツクライのJRAの重賞を勝ったことがあるのは、トロワゼトラル、ケイデンスコール、ヴァルディゼールの3頭。いずれも父がロードカナロアです。
母父ハーツクライで獲得賞金ベスト20を見てみますと、さきほどの3頭を含め、父ロードカナロアは7頭ランクイン。
この配合は完全にニックスといっていいでしょう。
ひとつはNureyevにあると思います。
そもそもハーツクライとNureyevは相性のいい血。シュヴァルグランやヌーヴォレコルトなどがいます。相性がいい理由として、いわゆる「ナスペリオン(ナスルーラ+ハイペリオン)」の伸びやかなスピードを増幅させるから、と言われています。
ロードカナロアもキングカメハメハの仔なので当然Nureyevの血を持っています。
それがトロワゼトワルのスピードやケイデンスコールの差し脚などに結びついているのだと思われます。
ただ、Nureyevの血を持つ馬なら、ロードカナロア以外にもいます。なので、他にも理由があるはず。
その理由として、もうひとつ、Busandaの血があると考えられます。
Busanda。名牝La Troiennneの孫であり、BuckpasserやBupersの母として有名な馬です。ロードカナロア産駒の最高傑作アーモンドアイも母フサイチパンドラがBusandaの血を持っていました。また、ロードカナロア自身もBusandaの血を持っています。
Busandaがスピードだけでなくパワーも伝える血であるであることを考えると、ハーツクライとロードカナロアだとどうしても緩くなりがちになるところを、インブリードによって硬くなりすぎずに締める役割を果たしていると思います。
結果的に、しなやかで伸びる仔ができやすくなる、ということでしょう。
父ロードカナロア以外では今一つ好成績をあげられていない母父ハーツクライの馬たち。ただ、最近面白い傾向も出ています。それは、意外とダートで走る馬も出すこと。
例えば、大井で準重賞のジェムストーン賞を勝ったギシギシや佐賀の佐賀若駒賞を勝ったムーンオブザボスなど。ギシギシはBusanda増幅、ムーンオブザボスはNureyev持ちのパターンです。
ハーツクライ自身は緩くダートでは非力な面もありますが、自身の牝系My Bupersからはノンコノユメも輩出するなど、ダートも走れる下地があります。
なら、緩さを解消させる意味でも、上手に配合すればダート系の種牡馬も合うのではないでしょうか。
同期のキングカメハメハがBMSで首位となり、同期のハーツクライはBMS部門では置かれている状況でした。
ただ、大分駒もそろってきた感じがしますし、ハーツ産駒のいい牝馬も繁殖にあがっています。
将来的にはロードカナロアとのニックス以外にも活躍馬を出すのではないでしょうか。