オグリキャップをもう一度

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ライスシャワーはずっと「ヒール」ではなく「ヒーロー」だった

天皇賞(春)と聞くと、やはりライスシャワーのことを思い出してしまう。

メジロマックイーンの三連覇を阻んだ1度目の勝利。2年間勝てなかったライスシャワーが早めに捲り、ステージチャンプをハナ差凌いで復活した2度目の勝利。ともに思い入れが深い。

ミホノブルボンの無敗の三冠を阻止した菊花賞も含めて淀の長距離戦は3戦3勝。名ステイヤーだった。

 

最近では「ウマ娘」の影響もあり、再び脚光を浴びているライスシャワー。そんなライスシャワーウマ娘でこんなセリフを述べていたらしい。

「ライスはヒールじゃない。ヒーローだ」

ミホノブルボンの無敗の三冠という偉業を阻み、さらにはメジロマックイーン天皇賞(春)三連覇という偉業をも阻んだ。小柄で黒い馬体、相手をマークし最後に差すレーススタイルで「黒い刺客」と呼ばれていたことから、ヒールとしてのイメージが定着してしまったのだろう。

そのことに関して、血統評論家の田端到さんがnoteで興味深い記事を書いている。

note.com

今回は、あくまで自分の当時抱いていた感想が中心となるが、田端さんの記事の補足(補足というのもおこがましいが)のようなことを書いてみる。

 

まず、ライスシャワーを語るうえで欠かせないのが、ミホノブルボンという馬である。

当時のJRAは「西高東低」がはっきりと表れてきた時代だった。その象徴といえるのが、ミホノブルボンだった。

正しく言うと、ミホノブルボンは最初からヒーロー扱いされていなかった。三冠に向かう春初戦となったスプリングSでは、無敗の3歳(当時の表記。現在でいう2歳)チャンピオンでありながら、ノーザンコンダクトに1番人気を譲っていたのだから。血統的には短距離馬、名門の良血馬にクラシックでは勝てない、なんて声が多かった。

また、西高東低以前は競馬の主流だった関東からは、多くのファンから打倒ミホノブルボンを期待され、「関東最後の砦」といわれた馬が何頭が出てきていた(最後の砦が何頭もいたというのもなんですかね)。オンエアー、エアジョーダン、アサカリジェントなど。

しかし、関東最後の砦といわれた馬たちはレースで敗れたのちに怪我で戦列を離れ、対照的にミホノブルボンは勝ち進んでいく。血統的に短距離馬といわれたミホノブルボンがクラシックでも勝ち進んでいった理由として、当時は栗東にしかなかった坂路調教の存在がクローズアップされる。こうして坂路調教で鍛えられたミホノブルボンは、強くなった関西馬勢の象徴となっていくのである。

ミホノブルボンの無敗の二冠がかかった東京優駿は、関東で行われるにもかかわらず「関東最後の砦」といわれた馬たちは出走できず、専らミホノブルボンの敵は血統的な距離の壁といわれた。結果はミホノブルボンが距離の壁を打ち破って二冠達成。ここに、限界をトレーニングで打ち破るという新たなヒーローミホノブルボンが誕生するのである。

この東京優駿で2着に入ったのが、ライスシャワーだった。当時16番人気。小柄で地味な馬ではあったが、関東馬を応援する競馬ファンからすると、希望のように思えたことだろう。

ライスシャワーはその後セントライト記念2着→京都新聞杯ミホノブルボンの2着、そして、菊花賞ミホノブルボンの三冠を阻止するのである。

実を言うと、自分はずっとミホノブルボンのファンだった。ただ、それでもミホノブルボンを破ったライスシャワーの走りは衝撃的であったし、強い馬だと思わせるのには十分だった。

だから、メジロマックイーンの三連覇を阻んだ天皇賞(春)は、自分からすれば当たり前だと思っていた。淀の長距離でならライスシャワーは負けないよ、と。

そして、当時関西馬いいようにやられていた関東馬を応援する競馬ファンからしたら、ライスシャワーはヒーローのように思えたことだろう。

事実、ライスシャワーはこの当時から人気のあった馬だったのだから。

 

その後、2年間勝てないという挫折。それでもライスシャワーは人気があったのが、何よりの「ヒーロー」であった証であろう。

復活を成し遂げた天皇賞(春)だって2年間勝っていないにもかかわらず4番人気だった。

そして、この復活劇は、ミホノブルボンファンもメジロマックイーンファンも喜んだものであった。

 

その後の悲劇も含め、ライスシャワーという馬は自分の中で思い入れの深い馬である。

どのレース関係なしに、ライスシャワーは小柄な馬体で懸命に走り続けた。雨の時も、重い斤量の時も。三冠や三連覇なんて、馬は知る由もない(実は知っているのかもしれないけど)。ただただ一生懸命走るだけである。

誰よりも長い距離で強く、あまりにも短い生涯だったライスシャワー。そのひたむきさ、頑張りを思うと、やはりこう思う。

ライスシャワーはずっと「ヒール」ではなく「ヒーロー」だったと。