衝撃が走った。
4月1日の門別競馬場。その日は能力検定試験が行われていた。その第3レースで47秒7という、2歳馬の能力検定試験で歴代最速の時計が出された。
いくら当日の馬場が時計の出やすいものであったにせよ、4月の2歳馬では考えにくい時計だ。しかも、大幅にリードを拡げてのもの。
そんな怪時計をたたき出した馬がシャルフジンだった。父がヘニーヒューズで、半兄がファルコンビーク。それならこのスピードも納得、ということで、道営の怪物候補誕生と騒がれた。
デビュー戦は一番人気に応え、2着に1秒8差をつける圧勝。
それでも能検で見せた走りに比べると、追ってからが物足りないなんて声も聞かれた。
つづく栄冠賞は道中かかり気味に逃げて4着。
スピード能力はあるけど、いろいろと改善しないといけないところはある。多くの人がそんな印象を抱いたかと思う。
だから、1700mに延長する今回では一番人気にならなかった。距離延長を不安視する声が多かった。
それが、終わってみたら番手につけてから直線抜け出し、5馬身差の圧勝。
強かった。
走り方を見ると、跳びが大きいのが特徴の同馬。むしろ距離延長で本領が発揮されたのかもしれない。
血統的にも、サクラチトセオーなどを出しているクレア―ブリッジの牝系。少なくともマイルは大丈夫の血であり、能力の違いがあれば中距離もこなせる。
新馬戦、栄冠賞での走りは、折り合いに気を付ければむしろ距離が伸びても大丈夫ということを表していたのかもしれない。
シャルフジンはドイツ語で「叡智」という意味である。
陣営の叡智が実り、距離延長も大丈夫だということが分かった。
今回の勝利で、シャルフジンのゆくては、明るく照らされる。