オグリキャップをもう一度

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光り輝けヒカリオーソ

馬主生活のサポートをするには、やはり血統の知識は必要。まだまだ勉強中の身ではありますが、このブログでは学んだことを書いていきたいと思います。

 

そんな血統論の一発目は、ヒカリオーソ。先日(2018年11月7日水曜日)平和賞を勝った馬です。

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(出典:JBISサーチ)

ヒカリオーソ。父フリオーソ。母ヒカリヴィグラス。母の父サウスヴィグラス

フリオーソヴァーミリアンカネヒキリサクセスブロッケンエスポワールシチースマートファルコン、などJRAの強豪を相手に、地方の雄として長年ダート競馬を盛り上げた功労馬。ヒカリヴィグラスはJRA地方交流元年に笠松競馬場から中央競馬牝馬クラシック戦線を賑わせたライデンリーダーの一族。そして、サウスヴィグラスはヒガシウィルウィンやラブミーチャンなどダート競馬の活躍馬を多数輩出した馬。

すなわちヒカリオーソは、「地方競馬の申し子」ともいえる血統なのです。

 

もう少し詳しく血統を見てみましょう。まずは、父のフリオーソから。

フリオーソがダートで活躍した血統的要因としましては、Mr.ProspectorとRobertoにあります。Mr.Prospectorの母Gold DiggerとRobertoの母BramaleaはNashua×Bull Dog+Blue Larkspurで共通していて、ニアリークロスの関係にあります。このニアリークロスが、現在のダート競馬での黄金配合の一つになっております。すなわち、このニアリークロスによって、RobertoのタフさとMr.Prospectorのスピードが引き出されるのです。

ここからちょっと複雑な話に。Nashuaに関しては、Specialの母Thongの父Nantallahとニアリークロスな関係にあります。このニアリークロスによって、スピードが強調されているのだと思います。ちなみにこの仕掛けは、ゴールドアリュール産駒の走る馬にも見られます。

さらに、Robertoについてややこしいお話。Robertoとフリオーソの4代前の母Trillionもニアリークロスの関係になっているのです。まず父がHail to Reasonで共通。そして、Bull DogとSir Gallahadが父Teddy×母Plucky Liegeという全兄弟の関係にあるので、その点も共通。さらに、Nasullahがあるという点も共通しています。父系のRobertoと牝系のTrillionでニアリークロスを成立させることによって、内部にあるBull DogやSir Gallahad(もっと言えばTeddyも)のスピード、パワー、タフさがより強調されたのだと思います。

 

フリオーソがこのように複雑なニアリークロスの関係で成り立っている以上、どのようにニアリークロスを利用しながら、クロスをうるさくしすぎないかが配合のカギになると思います。では、ヒカリオーソの母であるヒカリヴィグラスとだと、どうなのか、これから説明します。

 

まず目立つのが、Mr.Prospectorの3×5×5のクロス。結果的に、Mr.Prospectorがより強調される形になっています。つまり、スピード、しなやかさを伝えるけれど、同時に緩さも伝えてしまいやすくなる。これが、2歳だとまだ身体ができていない、つまり平和賞で瀧川騎手が「未完成」と言っていた一因なのだと思います。

そして、ミシルでBlue Larkspur、ネプチューヌスでSir Gallahad(=Bull Dog(Teddy×Plucky Liege))を補強。

ただ、これだと「うるさすぎ」な血統のようにも思えます。

この複雑すぎるとも思えるニアリークロスの関係をうまく受け止めているのが、サウスヴィグラスとヒカリヴィグラスの牝系です。

まず、サウスヴィグラスについて。サウスヴィグラス自身は、強いクロスを持っていないので、種牡馬としては相手方にクロスを持った馬の方が走る産駒を出していました。つまり、強いクロスを受け止め、緩和させる血なのです。そのうえで、ヒカリオーソの配合の場合は、Mr.Prospectorのクロスで味付けをするというおまけつき。

とはいっても、サウスヴィグラスのところでもクロスが成立してしまった以上、完全には緩和しきれていない。そこで、もう一つ緩和するための受け皿となっているのが、ヒカリヴィグラスの牝系です。まず、マウントミノル以前にはNasullahの血が入っていません。また、ライデンリーダーを輩出できるくらいの底力が牝系にはあります。そういった底力がなければ、異系であっても受け止めることはできませんから(邪魔になるだけ)。その底力の源になっているのが、ダイオライトのクロスと、シアンモアのクロスだと思います。ダイオライトシアンモア。ともに、戦前に日本にやってきて、日本競馬の礎を築いた種牡馬です。そんな日本競馬界の発展に貢献した血が入っていたからこそ、RobertoやMr.Prospectorに関するニアリークロスを上手に活かせたのではないかな。そんな風に思っています。

ちなみに、ダイオライトシアンモアともに、地方競馬でその名が冠された競走が行われております。そういったことからも、ヒカリオーソは地方の雄となるのに相応しい血統だと思います。

 

と、ここまでわかりにくい文章を読んでくださり、ありがとうございます。

最後に、なんで血統論の一発目でヒカリオーソなのか、ということを記しておこうと思います。

まず、現実的というか、経済的なお話について。馬主資格を取得するには、JRAよりも、地方競馬の方が要件は厳しくありません。高額な馬でなくても、地方競馬なら勝つことが可能でもあります(高額馬でも勝てるわけではありませんが)。もちろん、賞金が低い、トレーニング施設等の環境がJRAより良くない、などのデメリットもあります。が、馬主を始めるには、まず地方競馬から、というのも選択肢としてはありだと思います。だから、地方競馬に関する馬から書きたいな、と思っていました。

もう一つは、夢というか、競馬界の将来のお話について。最近は地方競馬の売り上げも好調で、10年くらい前の地方競馬場を廃止しようという話は少なくなってきました。しかし、JRAとの力関係はどうなのか。年々広がっているようにも思えます。それもそのはず。生産頭数自体は減少気味なのに、JRAに入る馬の数は上昇しているのですから。つまり、地方競馬でデビューする馬の数は、減少しているということ。母数が違うのですから、強い馬が生まれる可能性も少なくなります。結果的に、地方から強い馬が生まれない→地方競馬JRAの2軍扱い→魅力が少なくなる→売り上げが減る→賞金が減る→入厩する馬が減る→地方から強い馬が生まれない…となってしまうのです。そうなると、再び廃止となる競馬場が出てくる可能性もあります。地方競馬の廃止が相次ぐと、競馬の受け皿が減り、底が沈むことになります。これは、多様性がなくなり、意外な馬が出なくなることにもなり、ひいては日本競馬全体のレベル低下にもつながる話だと思います。それを防ぐためにも、地方競馬のことを知ってもらいたい。地方競馬から強い馬が出てもらいたい。そんな想いも「オグリキャップをもう一度」という名のブログにした理由の一つです。

だから、血統論の一発目は、地方競馬に所縁のある血のヒカリオーソを取り上げたのです。

今後、ヒカリオーソには、地方の雄として光り輝くような活躍を期待したいです。